【迷わない!】不動産を相続する際の査定について解説!理由や査定方法・流れを知ろう

【迷わない!】不動産を相続する際の査定について解説!理由や査定方法・流れを知ろう
「遺産の中に不動産があるが、相続すべきかわからない」
「相続した不動産って査定する必要があるの?」

遺産相続を控えている人や、すでに不動産を相続した人にとっては、上記のような疑問はなるべく早く解決したいものです。なるべく穏便に遺産分割協議をおこなうにはどうしたら良いか、悩んでいる人も多いでしょう。

結論から言うと、相続した不動産は査定を受ける必要があります。さらに、不動産を相続すべきかどうかも、査定をおこなうことで判断できるのです。

今回は、不動産査定を受ける流れや、業者の見極め方について解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

相続した不動産は必ず査定しよう!

遺産相続のトラブルを避けるためにも、相続した不動産は必ず査定しなければなりません。理由は、以下の通りです。

【相続した不動産を査定すべき理由】

  1. 遺産の価値を把握できるため
  2. 遺産分割協議の準備となるため

遺産の相続人が自分だけであれば、相続登記をおこなうだけで手続きが完了します。しかし、相続人が複数名いる場合は、どのように遺産を分配するのかについて協議しなければなりません。

不動産は、査定するまでその価値がわからないものです。そのため、利益が出る遺産かどうかを把握できなければ、相続の公平性が保たれません。

さらに、売却が見込めない場合などは、相続せず「相続放棄」を選択したほうが良いケースもあります。まずは、上記2つの理由について詳しく見ていきましょう。

理由①遺産の価値を把握できるため

相続した不動産を査定すべき理由は、遺産の時価価値を把握できるためです。不動産の遺産価値は、現金のように一目で価格がわかるものではありません。

そのため、素人が「大体このくらいだろう」と勝手に判断してしまうと、相続後のトラブルを招きかねないのです。

同等に相続を分配したつもりでも、予測した価値と実際の不動産価値が異なっていたときに、不平等になってしまいます。結果、相続した人同士の人間関係に亀裂が入ってしまうかもしれません。

基本的に、一度相続が成立してしまうと再分配は難しいです。相続人全員の合意があれば不可能ではありませんが、協議の上再度分配しなければならず、さらに贈与税がかかってしまうというデメリットが発生します。

遺産相続のトラブルを避けるためにも、相続した不動産を査定して時価価値を把握しておくことが大切です。

理由②遺産分割協議の準備となるため

相続した不動産を査定しておくことで、遺産分割協議をスムーズに進められるというメリットもあります。

対象不動産が、相続したとしても利益にならない「マイナス財産」である場合は、「相続放棄」を選択したほうが良いケースもあります。

特に、対象不動産が住宅ローンなどの借金の担保になっている、または抵当権が設定されている場合には、売却益でその借金が完済できるかが重要になります。

そのため、不動産会社の査定結果によって、売却益が借金の残債を下回る「オーバーローン」となることが判明した際には、相続人全員が相続放棄を選択することもあり得るでしょう。

一方で、現金などの相続が多い場合は、相続税も多くなります。しかし、一般に現金よりも土地のほうが、相続税が安くなり、かつ土地の上に建物が建っていればさらに相続税評価は安くなります。借金があれば借金も相続することになるため、全体として相続税は安くなります。つまり、賃貸物件などは「マイナス財産である」ため、相続税が軽減されるというケースもあり、その後の家賃収入を考えるとメリットもあります。

また、遺産分割協議は、相続人全員の同意が得られるまで継続されるものです。不動産の売却見込み額がわからないと、相続するメリット・デメリットも把握できないので、協議がダラダラと長引いてしまいます。その心的負担から揉めごとへと発展するケースも少なくないでしょう。

不動産査定をおこなうことで、残された不動産を相続すべきか・放棄すべきかの判断がつくため、協議もスムーズにおこなえるメリットがあるのです。

相続した不動産の査定方法3選

相続した不動産を査定する方法は、3つあります。

【相続した不動産の査定方法】

  1. 自分で査定する
  2. 不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する
  3. 不動産会社に依頼する

上記のうち、1番おすすめなのが「不動産会社に依頼する」方法です。無料でプロの査定が受けられるため、裁判などの必要がない場合には、不動産会社に依頼して査定を受けるのが一般的でしょう。

ここからは、相続した不動産を査定する方法について、それぞれ詳しく解説してきます。有料にはなりますが、不動産鑑定士に依頼するべきケースも存在するため、しっかり読んで覚えておいてください。

自分で査定する

不動産の知識がない人でも、不動産の概算時価を調べることはできます。自分で査定する場合のメリット・デメリットについては、以下の通りです。

メリット デメリット
  • 無料で算出できる
  • すぐに計算でき、手間がかからない
  • プロの査定と比較すると正確性がない
  • 相続人のうち誰が査定するか、協議する必要がある

自分で査定する場合は、相続人の中から査定する人を決めなければならなりません。詳しい人がいない場合は、誰かが勉強しながら査定していかなければならなくなります。

さらに、査定担当となった相続人が、他の相続人が無知であることを悪用し、自分に都合よく査定する可能性も考えられるでしょう。そのため、公平性・信頼性に欠けるというデメリットがあるのです。

そのため、自分で査定するのは、「第三者に依頼する前に不動産のおおまかな相場を把握しておきたい」という場合に活用できる方法になります。

また、自分で不動産の時価を算出する際には、以下の「不動産の公的価格」を参照してください。

相続税路線価 相続税・贈与税の算定基準として参照するデータ
時価の80%程度を目安に定める
固定資産税評価額 固定資産税の算定のため、市町村が評価・発表するもの(納付書で確認可能)
時価の70%程度を目安に定める
公示地価 国土交通省が発表する取引指標価格
対象不動産に近い標準値を選定
土地・面積・形など相違点を補正しながら算出
基準地価 都道府県が算出
(公示地価とほぼ同じ性質)

相続税の納税額は、土地に対して「相続税路線価」を、建築物に対して「固定資産税評価額」を使って算出するのが一般的です。

相続税路線価を利用する場合は、以下の計算式で求められます。

土地の評価額=「路線価(土地に面した道路価格)×土地面積」÷80%

相続税路線価は、国税庁が「その年の1月1日時点の評価額を7月1日に発表する」ものです。

その間の経済情勢の変化などが反映できない可能性も考えられるため、納税者間で不公平が発生しないよう「時価の8割程度」を目安にすることを定めています。

また、固定資産税評価額から評価額を算出する方法は、以下の通りです。

建物の評価額=固定資産税評価額÷70%

固定資産税の金額は、市町村から毎年5月頃送付される「固定資産税納税通知書」や、役所の窓口で取得できる「固定資産税評価額証明書」などで確認できます。

固定資産税評価額は、3年に1度評価替えされるものです。その間の経済情勢を金額に反映できないことから「時価の7割程度」に設定することが定められています。

不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する

不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、「不動産鑑定評価書」を発行してもらうこともできます。不動産鑑定士に依頼するメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット デメリット
  • 裁判所に公的資料として提出可能
  • 費用がかかる
  • 鑑定評価額=売却金額ではない

不動産鑑定士による鑑定結果を記した「鑑定評価書」は、公的書類としての効力を持っています。不動産鑑定士は、公式な鑑定評価基準に沿って鑑定をおこなうためです。

さらに、評価書の記述項目は法律で定められていることから、「土地が適正価格で取引されている」ことを公式に証明できるメリットがあります。信頼性の高い書類のため、相続人間の不公平感も生じにくくなるでしょう。

一方、デメリットは依頼費用がかかることです。鑑定額は鑑定する不動産の種類によって変動します。以下は、主な不動産鑑定の費用目安です。

対象不動産 詳細 費用目安
土地のみ 戸建て住宅規模の土地 20万円前後
大規模な土地 30万円前後
建物のみ 戸建て住宅 20万円前後
土地と建物 戸建て住宅 25万円前後
マンション 一室の所有権 30万円前後

上記はあくまでも目安になりますが、不動産鑑定士に依頼する場合は、おおよそ20~30万円の費用がかかります。

決して安くない金額なので、誰がその金額を負担するのかという問題が発生します。また、鑑定評価額は市場価格と異なるものであるため、必ずしも同じ金額で売却できるわけではありません。

しかし、不動産評価書は、裁判・銀行・税務署などで必要になった際に資料として提出できるものになります。そのため、トラブルに発展しそうな場合は、公平性を重視して不動産鑑定士に依頼する方法を選択するのが良いでしょう。

不動産会社に依頼する

3つ目は、不動産会社に査定を依頼する方法です。不動産会社に依頼する際のメリット・デメリットは、以下をご覧ください。

メリット デメリット
  • 無料で査定してもらえる
  • 相続した不動産の売却を依頼できる
  • 売却せず、賃貸などの運用もできる
  • 公的書類としての効力はない

不動産会社に依頼するメリットは、「査定が無料で受けられること」と「不動産を売却したい場合はそのまま依頼できること」です。そのため、将来的に売却を検討している人におすすめです。

ただし、不動産会社の査定結果を記した「不動産査定書」は、公的書類としての効力を持っていないので、裁判資料などには利用できません。

不動産会社の査定額は、不動産の市場価格を算出するものになります。つまり、不動産会社が「自社と契約して仲介した場合はこのくらいの金額で売り出せます」という予測価格を算出した「見積書」の役割を持っているのです。

不動産会社によって査定時に重視する項目が異なり、査定金額が変動しやすい特徴があるため、公的には使えないものになります。必要があれば、不動産鑑定士に依頼しましょう。

相続した不動産を査定するステップ

ここからは、主な不動産査定に活用されている「不動産会社の査定」の手順について見ていきましょう。不動産会社の査定方法は、以下の流れでおこないます。

【不動産会社に査定を依頼するステップ】

  1. 机上査定を依頼する不動産会社を選定する
  2. 訪問査定を依頼する
  3. 査定の訪問結果を受け取る

また、不動産会社のおこなう査定方法は以下の2種類です。

査定の種類 メリット デメリット
机上査定
(簡易査定)
簡単に査定してもらえる おおまかな相場しか把握できない
訪問査定
(詳細査定)
実際の市場相場に近い価格がわかる 手間・時間がかかる

不動産査定は、「机上査定→訪問査定」の順で両方受けることで、効率的に信頼できる不動産会社を選定することができます。さらに、優良業者の見極め方についても紹介しますので、実際の査定依頼時に役立ててください。

ステップ①机上査定を依頼する不動産業者を選定する

まずは、不動産会社に「机上査定」を依頼し、おおまかな売却相場を見積もってもらいましょう。

机上査定は「簡易査定」とも呼ばれる査定方法で、売却したい不動産の物件情報と、過去取引の類似物件をデータ上で比較し、価格を算出します。無料で対応しているところが多く、即日~2日程度で結果が出るのが特徴です。

先述した通り、不動産会社による査定は金額が変動しやすい特徴があります。業者によって得意な物件・土地が異なるので、査定時に重視される項目もさまざまであるためです。

また、不動産会社にとっては、査定依頼者が見込み顧客となることから、営業的側面が強くなることも挙げられます。

そのため、見積もり額を相場よりもわざと吊り上げて提示し、その先の媒介契約を獲得しようとする不動産業者もいるかもしれません。査定金額が高すぎる業者は、むしろ警戒するべきでしょう。

不動産会社が出した査定結果が相場通りのものかどうか判断するためには、最低でも3社程度の複数業者へ査定を依頼することをおすすめします。

また、自分で業者の選定が難しい場合は、WEB上の「不動産一括査定サイト」などを利用するのが良いでしょう。

不動産一括査定サイトは、依頼者の連絡先と、査定したい不動産の基本情報を入力するだけで、簡単に複数社へ一括査定が依頼できるメリットがあります。

サイトによって対応エリアや提携不動産会社が異なるので、複数サイトを利用するとさらに効果的です。

ステップ②訪問査定を依頼する

次に、実際に土地の詳細調査をおこなう「訪問査定」を依頼する業者を選定しましょう。

机上査定で見積もりを出してもらった業者の中から、「結果が良かった・説明が丁寧だった」など、好印象だった会社をピックアップして3社ほどに絞り込むのがおすすめです。

1社だと比較検討できず、また多すぎると時間・手間などのコストがかかりすぎてしまうので、3社程度が適当でしょう。

不動産売却時に結ぶ「仲介契約」は、契約方法によっては1社にしか依頼できない場合もあります。そのため、売却を予定しているなら、なおさらしっかりと業者の見極め、絞り込むことが必要です。

また、「訪問査定」とは、不動産会社の担当者が直接現地に赴き、物件・土地の状況・条件を詳細に調査した上で価格決定する査定方法です。実際の売却相場に近い正確な価格知ることができます。

訪問査定をおこなう流れは、以下の通りです。

【訪問査定の流れ】

  1. 不動産会社に訪問査定を依頼
  2. 訪問日の打ち合わせ
  3. 訪問査定(現地調査)当日
  4. 査定結果送付

訪問査定当日の現地調査は、ほとんどの場合で立ち合いが必要です。調査は2~3時間かかるため、十分に時間が確保できる日にちを指定しましょう。

また、当日は現地調査のみで終了となるケースが多く、結果は後日送付されます。現地で得た情報をもとに、過去取引などのデータも吟味した上で、価格決定をおこなうためです。

結果送付までは、現地調査から3日~1週間かかることを留意しておきましょう。

ステップ③査定の訪問結果を受け取る

現地調査後に届く訪問査定の結果を記した書類は、「不動産査定書」と呼ばれています。不動産査定書のチェック項目は、以下の通りです。

【不動産査定書の確認ポイント】

  • 査定結果の根拠は適切か
  • 査定書の見やすさ・わかりやすさはどうか

不動産査定書が手元に届いたら、まず「査定結果の根拠」をチェックしましょう。根拠が明確でない場合や、金額算出の不明点がある場合は、なるべく早めに問い合わせておくことをおすすめします。

例えば、不動産の売れやすさを判断する数値として「流通性比率」というものがあります。この流通性比率がマイナス評価である場合やきちんと明記されていない場合には、その理由について聞いておけると良いでしょう。

価格算出の根拠を明確に答えられる、あるいは物件のマイナス評価となった要因を正確に答えてくれる場合は、信頼性の高い業者だといえます。

また、査定書の見やすさ・わかりやすさなどのセンスがあるかも、併せてチェックしておく必要があるでしょう。査定書のセンスがない場合は、その業者が作成する販促物も同様に見づらく、効果的に買い手がつかない可能性があります。

上記のポイントに留意して、信頼できる不動産会社かどうかしっかり見極めてください。

まとめ

相続した不動産は査定を受けて、その時価価値を把握しておく必要があります。遺産分割協議をスムーズに進め、相続人間のトラブルを生まないためにも、不動産会社に査定を依頼しましょう。

また、不動産会社に査定を依頼する際は、まず簡易査定で業者の絞り込みをおこなってください。その後、訪問査定で実際の対応や査定書の内容をチェックして、信頼できる不動産会社の見極めをおこないましょう。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。