不動産売却

【不動産売却とは?】家を売る際の基礎知識から心構え、不動産会社の選び方まで徹底解説

一口に不動産売却と言っても、その売却方法や不動産会社との契約方法はさまざまです。不動産売却をできるだけ良い条件でスムーズに進めるために、まずは基礎知識や売却の流れを知っておきましょう。

当記事では、不動産売却の基礎知識から不動産会社の選び方までわかりやすく解説していきます。不動産売却で失敗したくない方は、ぜひ参考にしてください。

不動産売却とは?基礎知識をご紹介

はじめに、不動産売却の基礎知識をご紹介していきます。不動産売却と聞くと、転勤や離婚、生活困窮などのイメージがつきまといますが、不動産売却をおこなう理由は、ネガティブなものばかりではありません。

不動産売却を考えている人の主な売却理由をはじめ、売却方法や手順を詳しく見ていきましょう。

不動産の主な売却理由

国土交通省が発表している「2020年土地保有・動態調査(2019年取引分)」のデータによると、不動産を売却した件数は、法人より個人が大きく上回っていることがわかります。

個人で不動産を売却する際の主な理由は、以下の通りです。

【不動産の主な売却理由】

  • 住み替えのため
  • 相続税の支払いのため
  • 買主の強い希望によるもの
  • 借入金返済のため
  • 生活費にあてるため
  • 節税のため

一部でネガティブな理由も挙げられますが、買い替えを目的として売却している方も決して少なくないようです。また、不動産投資をしている方のなかには、所有している不動産を整理して節税対策する方も見られました。

不動産売却の3つの方法

続いて、不動産売却の方法を見ていきましょう。不動産売却には、下記の3つの方法が挙げられます。

【不動産売却の方法】

  • 不動産会社に仲介してもらう
  • 不動産会社に買取してもらう
  • 不動産会社を利用せずに自分で家を売る

それぞれの売却方法を詳しく解説していきます。

不動産会社に仲介してもらう

不動産売却のなかで最もメジャーな売却方法は、不動産会社に仲介してもらうことです。不動産会社に仲介を依頼すると、不動産サイトに物件広告を打ち出し、買主の募集をおこないます。

基本的には、売主の希望金額で募集をおこなえますが、売れ残る場合には価格の見直しが必要です。また、売却が決まった際には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

不動産会社に買取してもらう

不動産会社に買取してもらうのも1つの手です。買取の場合、仲介による売却よりも査定額が低くなる傾向がありますが、買主が現れるまで売却を待つ必要はありません。

住み替えや財産分割などの理由で売却を急いでいる方は、短期間で確実に売却できる不動産会社による買取を検討してください。

不動産会社を利用せずに自分で家を売る

最後は、自分で家を売る方法です。不動産会社を利用せずに自分で売却できれば、仲介手数料を支払う必要はなく、売却コストを抑えられます。

しかし、不動産売却には法的・専門的な知識が必要です。個人売買をおこなったために、売却価格が低くなってしまうケースもあるので、不動産売却が初めての方は不動産のプロにお願いした方が無難でしょう。

不動産売却の流れ・期間

不動産売却の流れは、大きく分けると下記の7つのステップで進んでいきます。

【不動産売却の流れ】

やること 目安の期間
STEP1 相場を調べる 約1か月
STEP2 不動産会社に査定依頼をする
STEP3 媒介契約を結ぶ
STEP4 内覧などの売却活動をおこなう(売り出し) 約1~3か月
STEP5 売買契約 約1~2か月
STEP6 引き渡し
STEP7 確定申告

どんなにスムーズに進んでも、約3か月〜半年はかかるので、余裕を持ったスケジュールを組んでください。

不動産査定の種類

続いて、不動産査定の種類について解説していきます。不動産査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

下記に、それぞれの査定方法の特徴をまとめました。

机上査定

机上査定とはその名の通り、不動産屋の机の上でおこなえる簡易的な査定方法です。実際に家を見せなくとも、おおよその査定額を算出してくれます。

しかし、その算出額は過去に成約した類似物件から算出しているため、正確な査定額が出にくいことを覚えておきましょう。また、媒介契約を結びたいという理由から、わざと査定額を高く見積もる業者もいるので、注意が必要です。

訪問査定

訪問査定では、実際に売却したい不動産に不動産屋が出向き、隅々まで調査し査定額を算出します。机上査定と比較すると正確な査定額がわかるだけではなく、売却に伴いリフォームが必要かどうかも判断可能です。

過去の販売実績が確認しやすいマンションとは異なり、戸建てや土地の場合、正確な査定額を算出するために、細かな調査が必要になります。このため、戸建てや土地の査定をおこないたい場合には、特別な理由がない限り、訪問査定を選択しましょう。

媒介契約の種類

不動産会社に仲介を依頼する際、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約の種類は、以下の3種類です。

【媒介契約の種類】

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

下記に媒介契約ごとの特徴やメリット・デメリットをまとめたので、詳しく確認していきましょう。

一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約を結べる契約方法です。売主は複数の業者に販売活動の依頼をできるので、その分多くの人の目に留まりやすいメリットがあります。

また、売主自身が買主を見つけることも可能なので、不動産会社による制限があまりない契約方法と言えるでしょう。

一方で、一般媒介契約は売主への業務報告が義務化されていないというデメリットも挙げられます。売却活動の状況を知るためには売主側から不動産会社に問い合わせる必要があるので、熱心に売却活動をしてほしい方にとっては不向きです。

専任媒介契約

専任媒介契約は、2週間に1回の頻度で売却活動の状況報告が義務づけられている契約方法です。一般媒介契約よりも手厚いサポートが受けられますが、複数の業者に販売活動の依頼はできません。

ただし、一般媒介契約と同様に、売主自身が買主を見つけることは可能です。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、媒介契約のなかで最も制限の多い契約方法です。売主自身が買主を見つけることも制限されていますが、その分積極的な売却活動が期待できます。

1週間に1回の高い頻度で売却活動の状況報告もおこなってくれるので、最も現状を把握しやすい契約方法と言えるでしょう。

不動産売却を始める際に必要な準備

次に、不動産売却を始める際に必要な準備について確認していきます。不動産売却をおこなう際には、大きく分けて下記の2つの準備が必要です。

【不動産売却を始める際に必要な準備】

  • 売却のスケジュールを決める
  • 売却する不動産を明確にする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売却のスケジュールを決める

1点目に必要な準備は、売却のスケジュールを決めることです。不動産売却には「繁忙期」と「閑散期」が存在します。そのため、できるだけ高く不動産を売却したいなら、需要が高まる繁忙期に販売できるスケジューリングをしたほうが良いです。

下記に、売りたい時期に応じた準備を始める時期の目安をまとめたので、参考にしてください。

売りたい時期 準備を始める時期
1~4月(繁忙期) 前年の10~12月まで
5~8月 2~4月まで
9~12月 5~7月まで

売りたい時期に合わせて、売却のスケジュールを決めてみましょう。

売却する不動産を明確にする

売却する不動産を明確にすることも重要です。先祖から相続した土地や戸建ての場合、土地の境界線が明確でないことがあります。

売却の際に、どこまでが自身の所有地であるか明確にわからないと土地の価値が下がり、適性価格での売却ができません。また、境界線が原因で隣接する土地の住民とトラブルになる可能性もあります。

これらの理由から、不動産売却を決めたら早めに不動産の境界線を調べるようにしましょう。境界線の測量は測量士に依頼できます。

不動産売却に必要な書類

不動産売却は大きな資産が動く取引なため、公的な書類が数多く必要になります。下記に不動産売却に必要な書類をまとめたので、確認していきましょう。

必要書類 書類の内容
実印 売買契約書に捺印する
土地・建物登記済証 売却する不動産の所有者であることを証明する書類
印鑑証明種 実印を登録している窓口で発行した書類
固定資産税・都市計画税納税通知書 買主との税負担割合の清算に必要な書類
管理規約や管理組合総会議事録 物件(マンション)購入時の規約や説明が記された書類
建築確認通知書・検査済証 建築基準法に則った建築がされている証明書
測量図 土地の境界や建物の図面がわかる書類
物件状況など報告書 建物や土地の状況を記した書類
設備表 物件引き渡し時点での設備の有無を記載した書類
印紙 不動産売買契約書に貼り付けする印紙
本人確認書類 運転免許書やパスポート

なかには、すぐに用意できない書類もあるので、事前にしっかりと確認してください。電子契約で売却をおこなう場合は、印鑑や印紙が不要となります。

不動産売却にかかる費用・税金

不動産を売却する際にかかる費用として代表的なものは仲介手数料ですが、これ以外にも多くの費用が発生します。なかには、不動産売却にかかる税金もあるので、しっかりと確認しておきましょう。

費用や税金の名称 費用
仲介手数料 (売却額×3%+6万円)+消費税
印紙税 200円~60万円
抵当権抹消費用 不動産1つにつき1,000円(司法書士に依頼する場合には1万円~5万円)
住宅ローン返済による手数料 5,000円~3万円
譲渡所得税 短期:売却益×30.63%
長期:売却益×20.315%
測量費用 一般的な戸建てで約50万円
解体費用やクリーニング費用 3万円~300万円

上記の表からもわかるように、不動産売却にかかる費用の大半は、仲介手数料です。しかし、売却する不動産の状態や住宅ローンの有無によっては、想定外の費用がかかる場合があります。

資金計画通りに売却を進めるためにも、不動産売却にかかる費用は多めに見積もっておきましょう。

今は不動産の売却に適している?土地・マンション・一戸建ての価格推移

現在、不動産売却を検討している方のなかには、今が売りどきなのか、そうでないのかが気になるのではないでしょうか。結論から先に申し上げると、近年の不動産価格は上昇傾向にあるので、売りどきと言えます。

下記は、国土交通省が調査した「不動産価格指数」のグラフです。

(引用:国土交通省「不動産価格指数」

グラフの黄色が住宅地(土地)、緑色がマンション、青色が一戸建ての価格の推移を表しています。

上記のグラフから、土地や建物は2020年以降から大幅に価格が上昇傾向にあることがわかります。これは都道府県別に見ても同様で、ほとんどの地域で前年度より価格が上昇傾向です。

しかし、不動産価格の推移は何らかの理由で下落していくことも十分に考えられます。今後価格が下がってしまう可能性を加味すると、上昇傾向にある今は売りどきと言えます。

不動産売却を始める際の心構え

不動産売却を成功させるためには、基礎知識や売却の流れを知っておくことも重要ですが、いくつかの心構えをしておく必要もあります。焦りから失敗を起こさないよう、下記の心構えをしておきましょう。

【不動産売却の心構え】

  • 売却を焦らない
  • 売却する不動産に自信を持つ
  • 不動産売却についての知識を蓄える
  • 不動産会社を慎重に選ぶ

それぞれ詳しく解説していきます。

売却を焦らない

不動産売却を始める際の心構えとして最も重要と言えるのが、売却を焦らないことです。本格的な売却活動が始まると、スムーズにいけば3か月程度で買い手が見つかりますが、時期や売却状況によっては半年以上見つからないこともあります。

特に、マンションの場合には同じ物件内に競合する部屋があると、売却が難航するケースがあります。

しかし、このような状況になっても売却を焦らないよう努めましょう。売れ残る焦りから売値を下げるなどの行動は控え、不動産会社の営業担当と冷静に相談してください。

売却する不動産に自信を持つ

内覧時のアピールの良さが、不動産売却の成否を分けるケースもあります。そのため、売却する不動産には常に自信を持ってください。

売主が不動産に持つ不安や自信の無さは、どうしても営業担当者や買主に伝わってしまいます。自身の態度で不動産の価値を下げないよう、アピールポイントをあらかじめ探しておいてください。

不動産売却についての知識を蓄える

不動産売却の知識を蓄えておくことも、大切な心構えの1つです。値下げをする適切なタイミングや売却する不動産のニーズ、売りやすい時期等を知っておけば、何も焦る必要はありません。

また、知識を蓄えておくことで売却相場を把握でき、不動産会社の「囲い込み」も防止できます。わからないまま売却が進むことのないよう十分に知識を蓄え、不動産売却における戦略を練っておきましょう。

不動産会社を慎重に選ぶ

最後は、不動産会社を慎重に選ぶことです。不動産会社を選択した理由として「営業担当者の人柄に惹かれた」等の口コミがよく見られますが、人柄の良さだけで不動産会社を決定することはやめましょう。

不動産会社選びは、査定額・保証サービス・実績・口コミ等を加味して慎重に選ぶ必要があります。不動産会社の選び方については次の項で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

不動産会社の選び方

ここまでは、不動産売却の流れや心構えについて解説してきました。不動産売却では、入念な準備と信頼できる不動産会社選びが、売却を成功させるための大きな鍵を握ります。

では、実際に不動産会社を選ぶ際にはどのような基準を持てば良いでしょうか。下記に、不動産会社の選び方をまとめたので参考にしてください。

【不動産会社の選び方】

  • 大手企業と中小(地元密着型)企業を比較する
  • 不動産売却の経験者の評判・口コミで選ぶ
  • 不動産一括査定を利用して選ぶ

大切なことなので、それぞれ詳しく解説していきます。

大手企業と中小(地元密着型)企業を比較する

1点目のポイントは、大手企業と中小企業の両方を比較することです。不動産売却をおこなう際、「何となく大手企業の不動産会社が良いかな」と考える方は多いでしょう。

しかし、会社の規模だけで売却力は推し量れません。なぜなら、大手企業も中小企業も取り扱う不動産情報に圧倒的な差はないからです。

複数の業者を比較検討する場合には、会社の規模ではなく営業力や営業担当者の人間性の高さで選ぶようにしてください。

不動産売却の経験者の評判・口コミで選ぶ

次に挙げられるポイントは、評判や口コミで選ぶことです。昨今ではインターネットやSNSの普及から、気軽に口コミや評判を検索できるようになりました。

そのため、不動産会社を選ぶ前に、まずは口コミ調査をおこないましょう。不動産会社の口コミはGoogleの検索フォーム等で「不動産会社名 口コミ」などと入力すると検索できます。

不動産一括査定を利用して選ぶ

不動産一括査定サービスとは、不動産売却をおこないたい方に対して、全国の優良な不動産会社を紹介するサービスです。従来までは不動産査定をおこなう場合、各会社に出向いて査定を依頼する必要がありました。

しかし、不動産一括査定を利用すれば、自宅にいながら一度に複数の業者に査定を依頼できます。査定依頼にかかる費用は一切ないので、ぜひ利用してみましょう。

不動産売却に関するよくある質問

最後に、不動産売却に関するよくある質問をまとめました。

【不動産売却に関するよくある質問】

  • 不動産の売却相場の調べ方は?
  • 不動産登記とは?
  • 不動産を売却した時は確定申告が必要?

現在疑問点がない方でも、後々困ることがあるかもしれません。後から後悔しないよう、よくある質問に目を通しておいてください。

不動産の売却相場の調べ方は?

売却相場の調べ方は、大きく分けて下記の2つの方法があります。

【売却相場の調べ方】

  • 不動産ポータルサイトで売却したい不動産と同条件の物件を検索する
  • 不動産会社に訪れ、過去の取引事例をもとに相場を把握する

不動産ポータルサイトを用いると、自宅で簡単におおよその相場を知ることができるので、ぜひ活用してください。

不動産登記とは?

登記とは、権利関係を公で明らかにする証明制度のことです。つまり、不動産登記は不動産の所有者が誰かを明らかにする役割があります。

ご自身の大切な財産を守るためにも、不動産登記は必ずおこなっておきましょう。

不動産を売却した時は確定申告が必要?

不動産を売却して得られた利益である「譲渡所得」は、給与所得とは分離して課税されるため、不動産売却をおこなった翌年には確定申告が必要になります。

また、不動産売却では一定の条件を満たして特別控除の適用を受けると、納税額が0円になるケースもあります。このケースも同様で、特別控除の適用を受けるための確定申告が必要になるので、注意してください。

まとめ

当記事では、不動産売却の基礎知識や心構え、そして不動産会社の選び方について詳しく解説してきました。不動産売却を成功させるためには、基礎知識を蓄えて全体像を把握しておくことが重要です。

不動産会社選びも売却の成否を分ける重要なポイントとなるので、当記事を参考に売却に強い不動産会社を見つけて、より良い条件で不動産売却をおこなってください。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。