【トラブルのない取引のために】不動産売却時の販売活動は何をすれば良いの?売り出しのコツを完全解説!

【トラブルのない取引のために】不動産売却時の販売活動は何をすれば良いの?売り出しのコツを完全解説!
不動産売却時の販売活動を不動産会社まかせにしていませんか?

希望価格でトラブルなく、スムーズに売却するためには、売主自身も積極的に売り出しをおこなっていくことが重要です。

しかし、いざ販売活動をおこなおうとしても、「具体的に何をすれば良いの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。

そこでこの記事では、スムーズな売却につながる売り出しのコツを紹介します。この記事を読めば、不動産会社任せの販売活動から脱却できます。

不動産売却時の販売活動における売り出しの流れ

不動産の売却は売り出し価格の決定から、広告活動の開始まで以下のような流れでおこなわれます。

【不動産売却時の販売活動の流れ】

  1. 売り出し価格を決める
  2. 内覧準備を始める
  3. 宣伝・広告作成をする
  4. 広告活動を開始する

それぞれのステップを主導するのは不動産会社ですが、売主自身も全体の流れを知っておきましょう。そうすることで、希望通りの販売活動をおこなうことが可能になります。

1.売り出し価格を決める

不動産売却を決めて、販売活動を始めたらまずおこなうことは、売り出し価格の決定です。

このときに売主は、インターネットで検索した情報や周辺の売却実績から調査し、概ね相場を把握したところで複数の不動産会社に査定を依頼します。

【相場を調べるためのサイト】

不動産会社の査定は、簡易な机上査定と詳細訪問査定によりおこなわれます。売主はこの査定結果を踏まえ、媒介契約する不動産会社を決定し、売り出し価格を決めるのです。

売り出し価格は査定結果や不動産会社の提案を踏まえて売主が決定しますが、早期に売りたい場合には相場よりも低めに設定することもあるでしょう。

ここで決めた売り出し価格は最終価格ではなく、購入希望者との売買交渉により売却価格が決められます。

2.内覧準備を始める

担当する不動産会社と契約し、売り出し価格が決まると販売活動がはじまります。宣伝・広告活動は主に不動産会社がおこないますが、売主も販売期間中は内覧希望者への対応が必要です。

内覧に際し、玄関や庭先、水回りなどの清掃をしておくと、購入希望者の印象がよくなります。実際に住みながらの内覧はできる範囲も限られますが、良い買い手を見つけるためにも不要物の処分や清掃をしておきましょう。

また、最近では不動産売却用に特化したハウスクリーニングサービスもあります。このサービスは便利なのですが、家全体のクリーニングを依頼すると費用がかさむので、個人では難しい水回りなどをピックアップして依頼するのもよいでしょう。

ただし、ハウスクリーニングは査定や売却価格にそれほど影響を与えないこともあるので、依頼する場合には作業範囲を事前に不動産会社と相談のうえ、費用をかけすぎないようにしましょう。

3.宣伝・広告作成をする

不動産会社が行う宣伝・広告方法は次のようなものがあります。

【不動産会社が行う宣伝・広告方法】

  1. 店舗での直接紹介
  2. 新聞の折り込み広告
  3. ポスティング
  4. 不動産サイトへの掲載
  5. オープンハウス

販売活動の戦略を練るのは基本的には不動産会社です。そのため、売主のなかには全く宣伝・広告活動に関わらない方も一定数います。確かに、プロである不動産会社に任せておけば安心というのは事実です。

しかし、自分の物件が販売に出されている以上、上記のような宣伝・広告方法があることを知っておいて損はありません。例えば、高齢者がターゲットの物件なのにインターネット広告しか出さない業者がいれば、違和感を感じるでしょう。

売却している自分の物件が正当な宣伝方法で売り出されているのかを確認しておく意味でも、宣伝・広告の概要は知っておくべきです。

4.広告活動を開始する

不動産会社と媒介契約をおこない物件がレインズに登録されると、いよいよ宣伝・広告活動の開始となります。レインズへの登録は不動産会社が物件を囲い込みしていないかを確認する手段ですが、登録さえすればすぐに買い手が見つかるわけではありません。

売主の条件と合致する買い手が見つかるかどうかは、不動産会社が効果的に広告活動をおこなうかどうかにかかっています。

次項からは、広告手法について具体的に解説していきます。

不動産を売り出すための広告手法5選

広告手法には、以下のようにさまざまな方法があります。

【不動産売却時の広告手法一覧】

手法 メリット デメリット
1.店舗での直接紹介 専門性の高い営業担当者が売り込んでくれる 来店しないと情報にリーチしない
2.新聞の折り込み広告 作り込んだチラシを新聞購読者に見てもらえる 新聞によって購読者が限られ、新聞離れしている若者には届かない。
3.ポスティング 購入しそうなターゲットを絞って営業するので、成約が見込みやすい 配布のための人件費がかかる
4.不動産サイトへの掲載 ウェブサイトで物件を選ぶ人が多い ウェブサイトよってクオリティに差がある
5.オープンハウス 購入意欲の高い人に直接アプローチできる 実施のための人件費や広告費などがかかる

基本的には、不動産会社が先導を切ってこれらの方法で買い手を見つけてくれます。しかし、売主もしっかりと理解しておくことで、本当に不動産会社が適切な広告をおこなっているのかを判断できるようになるでしょう。

1.店舗での直接紹介

店頭での直接紹介は、文字通り不動産会社の店頭に来られたお客様に物件情報を紹介する方法です。会社の保有する顧客リストからマッチしそうなリストを作成し、メールや封書で送付することもあります。

専門性の高いプロが営業してくれるので効果が高いのがメリットですが、来店や問い合わせしてくれないと成約につながらないというデメリットもあるでしょう。

大手不動産会社だと各支店にも情報提供できるので、個店での対応以上に効果が期待できます。

2.新聞の折り込み広告

新聞折り込み広告は、物件情報を掲載したチラシを作成し新聞に折り込んで配布する方法です。新聞を購読している世帯であれば確実に情報が伝わるので、特定のエリアに幅広く宣伝でるのがメリットとなります。

インターネットに比べて詳細な情報を紙媒体で伝えられるのがメリットですが、新聞を購読していない世帯にはアピールできないのがデメリットです。特に近年では、新聞を購読しているユーザーが減っているため、その効果は薄れつつあります。

一方で、不動産を購入する経済的な余裕のある40代以上の層はいまだに新聞を購読している人もいるため、いまだ効果的な方法ではあるでしょう。

3.ポスティング

ポスティングは、チラシやダイレクトメールをポストに投函する方法です。

ターゲットを絞って直接配布できるので、新聞の折り込み広告より効果的であるというメリットがあります。賃貸マンションの入居者に一戸建ての物件情報を届けたり、エリアを絞ってポスティングしたりするなど戦略的な広告が可能となるでしょう。

ただし、配付資料の作成費やポスティングの委託費・人件費がかかるのがデメリットです。

限られた予算で、チラシの製作費や人件費・委託費などのコストをうまく配分して、いかに効率よくポスティングできるかが不動産会社の腕の試しどころとなります。

4.不動産サイトへの掲載

不動産サイトに物件を掲載する業者は近年、ますます増加しています。インターネットで検索をして物件を探している人がほとんどであるため、当然の傾向と言えるでしょう。

どのような形で掲載されるのかは不動産業者によるため、売主はインターネットに強い業者を選ぶことで、理想の買い手が見つかりやすくなります。知名度もなく、サイトにほとんど流入がないような業者であればインターネット経由での問い合わせの可能性は見込めないでしょう。

5.オープンハウス

実際に売却したい物件をオープンハウスとして公開し、一定期間内で内覧会などのイベントをおこない不動産会社の営業担当者が案内する方法もあります。

オープンハウスに足を運ぶ方はもともと購入意欲が非常に高いので、成約につながる可能性が高いのがメリットです。

ただし、オープンハウスを実施するには、清掃をするなどして不動産を綺麗に保つ必要があり、労力がかかる点には注意が必要です。

不動産売却の販売活動を成功させるコツ

不動産売却の販売活動は、不動産会社だけがおこなうものではありません。前述の通り、売主としてもできることがあります。

具体的に販売活動を成功させるコツは、次の通りです。

【販売活動を成功させるコツ】

  1. 状況に合わせた最適な不動産会社を選択する
  2. 掃除やリフォームはプロの意見を聞きながらおこなう

それぞれを理解し、実行するようにしましょう。

1.状況に合わせた最適な不動産会社を選択する

不動産会社には、得意とする分野があります。事前調査の時間をしっかりとって、選択しましょう。

中小の不動産会社は地域密着で細かい情報を持っていることが多いのに対し、大手では情報網が広くネットワーク力で有利な場合があります。

不動産会社はプロの自負があるのでなんでも取り扱えるとアピールしがちですが、当然得手不得手な分野があるのは事実です。会社の雰囲気や取扱物件の種類を実際に確認し、無料一括査定も利用するなどして、強みや対応方法などを比較しましょう。

査定額を比較したり、担当者の話を聞いたりして決めるのもおすすめです。

2.掃除やリフォームはプロの意見を聞きながらおこなう

掃除やリフォームはプロの意見を聞きながらおこないましょう。自己判断でおこなわないで、不動産会社の意見を求めることが大切です。自己判断で清掃やリフォームをおこなうと、以下のような事態に陥る可能性があります。

【自己判断で掃除やリフォームをおこなった際のトラブル】

  • 査定前など不要な時期に費用をかけたことで無駄な出費となる
  • リフォームと売却スケジュールが合わなくなることで買い手を逃す

これらの事態を避けるためにも、気になる点があれば事前にすべて不動産会社に伝えておくことが重要です。不動産会社は専門家なので、必要な情報を伝えればハウスクリーニングや傷んだ部分をどの程度修繕するかの具体的なアドバイスをしてもらえます。

まとめ

売主が満足できる不動産売却を成功するためには、効果的な販売活動が必要となります。そのためには、不動産会社に丸投げするのではなく、売主も一緒に販売活動を理解しサポートしていきましょう。

今回紹介したような、広告の流れや手法を事前に理解しておくことで、「仲介業者が思ったように動いてくれない」などの異変に早い段階で気がつくことができます。

今回の記事が、スムーズで納得のいく価格で不動産売却できるよう、お役に立てば幸いです。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。