土地売却なら誰に相談すればいい?7つの目的別に適切な相手をご紹介

土地売却なら誰に相談すればいい?7つの目的別に適切な相手をご紹介
「土地を売却したいけどどうすればいいかわからない」「初めての土地売却で不安がある」という悩みを抱えていませんか?

土地売却では大きなお金が動くため、税金や手数料などさまざまな費用が必要です。また、権利関係の手続きも複雑で難しいと感じている人も多いでしょう。

そこで今回は、土地売却の際の相談先について解説します。土地売却の状況ごとの相談先を紹介するので、最後まで読めば適切な相談相手が見つかるでしょう。

【相談先は?】土地売却の状況に応じての相談先は大別して6つ

alt_text

初めて土地を売却する場合、何から着手すればよいかわからない方も多いはず。土地の場所や地目・形状などによって特殊な手続きが必要なので、困ったら以下に相談してみましょう。

相談先 主な相談内容
税理士 土地売却の税金に関する相談
弁護士 土地売却の法律に関する相談
司法書士 土地売却の借金返済に関する相談
土地家屋調査士 土地売却の境界に関する相談
不動産鑑定士 土地売却の関連会社間取引に関する相談
不動産会社 土地の売却価格や方法・土地の活用方法の相談

次章ではそれぞれの相談先の特徴を解説します。悩みによって適切な相談先は異なるため、土地売却で悩みがある人はチェックしてみてください。

①土地売却の「税金」に関する相談は「税理士」

土地を売却する際に、取得時よりも売却時の価格が高い場合には利益に対して譲渡所得税という税金が課されます。譲渡所得税の税率は、売却時の不動産の所有期間が何年なのかによって大きく異なります。税金の仕組みを知らずに売却すると、高い税率が適用される、控除を利用できずに損をする可能性があるので注意が必要です。

また、土地の売却で利益が生じた場合や控除を利用する際は確定申告が必要です。知らずに放置するとペナルティの対象となり税金が上乗せされる、書類に不備があると受理されるまで何度もやり直さなくてはならず手間がかかります。

税理士は税金の専門家です。税理士に相談した場合は、税金の仕組みを分かりやすく教えてもらえることで、税負担を軽減できるほか、納税をサポートしてくれるので上記のようなトラブルを回避できます。税負担を少しでも軽減する方法を知りたい、確定申告をサポートしてほしい方は、税理士に相談しましょう。

ただし、税理士に依頼する場合は費用が必要です。直接問い合わせずに税理士会が実施している無料相談を利用すれば、初期コストを抑えられるでしょう。

②土地売却の「法律」に関する相談は「弁護士」

相続が発生し、被相続人(亡くなった方)が所有する土地を売却により現金化してから分割しようと考える方も多いと思います。しかし、他の相続人が合意しなかった場合、土地を売却することができません。また、離婚による財産分与で土地を売却する場合も、遺産分割と同様に合意に至りにくい場合があるので注意が必要です。

また、個人間で不動産を売買する場合は、不動産会社を仲介しないことで手数料負担を抑えることができます。しかし、個人間売買の場合、売買契約書に不備があった、売却後にトラブル(面積が小さかった、埋設物が見つかったなど)に発展することも少なくありません。

弁護士は法律の専門家です。弁護士に相談した場合、法に基づくアドバイスで話し合いが円滑に進みやすくなるほか、契約書の作成、相続や離婚で必要な手続きをサポートしてくれるので上記のようなトラブルを回避できます。

相続や離婚といったように権利関係が複雑な土地を売却しようとしている、個人間で土地を売却しようとしている方は、弁護士に相談すると良いでしょう。

③土地売却の「借金返済」における相談は「司法書士」

借金返済のために土地を売却する場合は司法書士に相談しましょう。司法書士は、登記や所有権に関するプロで、借金返済の相談にものってくれます。

借金返済のために土地を売却する場合、売却価格によっては返済金に届かないかもしれません。また、土地を担保に借金をした場合、完済時に抵当権の手続きも必要です。この抵当権解除の手続きも、司法書士に依頼が可能です。

借金返済のために土地を売却したい人は、司法書士法人の相談がおすすめです。個人ではやることが多すぎて大変ですが、司法書士の適切なアドバイスがあれば安心です。

④土地売却の「境界」における相談は「土地家屋調査士」

境界に関する悩みは、土地家屋調査士に相談しましょう。古い土地の場合、土地の境界が不明確になっていることが多いです。境界がわからないと正確な面積が把握できず、土地が売れにくくなります。

隣地との境界がわからない場合は、土地家屋調査士に境界を確定させた測量図を作成してもらってください。必要な情報として、隣地との境界だけでなく、道路との境も合わせて依頼するのがおすすめです。

⑤土地売却の「関連会社間取引」における相談は「不動産鑑定士」

親会社から子会社へ土地を売却する場合など、関連会社間取引での相談は、不動産鑑定士にしましょう。特殊な当事者間での取引は、脱税予防のために不動産鑑定士による鑑定評価書が必要です。

鑑定評価書とは、不動産の鑑定評価に関する法律に基づいて、不動産の適正な価格と評価額の決定に至った理由をまとめた書類のことです。鑑定評価書には以下のような項目が記載されています。

  • 対象不動産の表示(住所、地番、面積など)
  • 依頼目的と鑑定評価の条件(条件は求めたい評価額ex正常価格)
  • 鑑定評価額の決定および鑑定の基準となった日付
  • 不動産鑑定評価額を決定した理由
  • 鑑定評価額

通常の売却の場合は法人同士でも不動産会社の査定で問題ありませんが、関連会社への売却の際は注意してください。

⑥土地売却における「その他3つ」の相談は「不動産会社」

土地売却による悩みが以下の3つに該当する場合は、不動産会社に相談しましょう。

  • 売却価格
  • 売却方法
  • 土地の活用方法

不動産会社への相談は基本的に無料で、売却を依頼しても仲介手数料は成功報酬型です。売却後の支払いなので、相談費用がなくても問題ありません。具体的にどのような相談にのってくれるか、次章で詳しく解説します。

1.売却価格についての相談

不動産会社には、売却価格の相談が可能です。実際に売る時の金額も相談可能で、売り出し価格や値引き交渉に応じるかまで一緒に考えてくれます。

土地の売却相場も教えてもらえるので、適切な価格設定が可能です。もちろん、自分で調べて価格を説定することもできますが、プロである不動産会社のアドバイスをもらったほうが効率的に売却を進められるでしょう。

2.売却方法についての相談

土地の売却方法に悩んでいる場合でも、不動産会社に相談するのがおすすめです。例えば、「近所の人に売りに出していることを知られたくない」といった細かな要望も叶えてもらえます。

他にも、早く売りたい場合の売り方も相談可能です。売却方法について悩みがある場合、不動産会社に相談すれば適切なアドバイスをもらいながら希望通りの売却ができるでしょう。

3.土地の活用方法

売りたい土地の地目によっては、そのまま売却できなかったり制限がかかったりすることも。そういった難しい相談でも不動産会社は対応してくれます。

不動産会社は土地活用のプロです。土地を売るノウハウを詳しく教えてくれるため、相談することでより高い金額で売れる可能性もあります。農地や調整区域など、土地の活用方法に困った時は不動産会社に相談しましょう。

土地売却を市役所に相談するのもひとつの手

alt_text

土地売却は、市役所に相談することも可能です。少子高齢化の進行によって空き家問題が深刻化していることもあり、空き家バンクを設置する自治体も増えました。空き家バンクとは、自治体が管理・運営する不動産情報サイトのことで、自治体によっては空き家だけでなく土地も扱っているケースがあります。

不動産会社に土地売却を相談する際、売却が困難と不動産会社が感じた場合、仲介を断られる可能性があります。しかし、空き家バンクは基本的にどのような条件の不動産も受け付けており、広く情報を発信できる点がメリットです。

一方で、土地の売却を相談できるのは市役所の受付時間と同じで、平日の9時~17時頃となっています。そのため、不動産会社のように休日や夜間に相談できない、不動産の専門家ではないのでサポートに限界があるというデメリットが挙げられます。

市役所は補助的な相談先と言えるため、本格的なサポートを受けたいという方は不動産の専門家である不動産会社に相談しましょう。

【重要】土地売却は不動産会社探しが最も大事!5つの選び方とは?

alt_text

土地の売却をスムーズに進めるためには、不動産会社の探し方が大切です。ここからは、不動産会社の選び方を紹介します。

  • 担当者
  • 不動産会社の規模
  • 対応のスピード
  • 知識
  • 売却実績

信頼できる不動産会社を見つけることができれば、納得のいく形で売却ができます。反対に、不動産会社選びに失敗すると売却価格に満足できなかったり、なかなか売れなかったりするので注意してください。

①所有している物件・土地のエリアに精通している担当者か

不動産会社によって得意とする物件やエリアは異なるため、自分が売却したい土地を得意とする不動産会社に依頼することが大切です

地元の物件を得意とする会社もあれば、全国各地の土地を取り扱う会社もあります。また、担当者によっても得意分野が分かれるため、会社としてだけでなく担当者の能力も見て判断しましょう。

②不動産会社としての規模感は大きいか

不動産会社を選ぶ時は規模感も確認しましょう。

大規模の不動産会社は、豊富な売り先との関係性を持っています。また、全国各地に支店を持つ会社もあり、自分が住んでいない地域の土地を売る時でも移動の手間がかかりません。

小規模な不動産会社でも、販売能力や提案内容が魅力的な会社はあります。ただし、土地は多くの人の目に触れた方が売れやすいため、規模的に実現できない部分もあるでしょう。

不動産会社を選ぶ時は、規模感と自分の希望する売却内容も考慮してください。

③担当者の対応が早いか

担当者の対応の早さは、土地の売却において重要です。レスポンスが遅いと、売却の機会を逃してしまったり、売却時に不安を感じたりする可能性があります。

対応が早い担当者であれば、売却の機会を逃すことなく安心して任せられます。アポイントの日時設定やレスポンスのスピードなどを参考に担当者の対応の早さを判断しましょう。

④担当者の知見が豊富であるか

担当者の知見が豊富かも、不動産会社選びのポイントです。知識が豊富であれば、不動産売却に関するさまざまな悩みを相談できます。豊富な知識で自分では思いつかない提案をしてくれるかもしれません。

逆に、不動産会社として優秀でも、担当者の能力が低ければ安心して土地の売却を任せられません。担当者に自分の要望を叶えられるだけの知見があるか、必ずチェックしてください。

⑤売却実績が豊富であるか

不動産会社を選ぶときは、売却実績が豊富かチェックしましょう。「売却実績が少ない=販売能力がない」と判断するのはNGですが、少なからず不安を感じることも間違いありません。売却実績がある事実は、土地を売却したい人にとって大きな安心材料です。

ただし、売却実績が豊富でも自分が売却したい物件が不得意な不動産会社ではスムーズに売却できないかもしれません。そのため、自分の売りたいと思っている土地と似た物件の売却実績があるか、必ず確認しておいてください。

まとめ

今回は、土地の売却の際の相談先について紹介しました。土地の売却では大きなお金が動き、悩みを抱えることも多いです。また、悩みを解決せずに土地を売却すると後悔する可能性もあります。

土地を売却する際は、悩みに合わせて適切な相談先を探しましょう。悩みを解決して満足できる形で土地の売却ができるので、紹介した内容を参考に相談先を検討してください。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。