クリニックの集客方法おすすめ8選|成功のポイントや成功事例も紹介
クリニックを開業したものの、患者を獲得できず不安に思う開業医は少なくありません。新規の患者を集めるには、集客方法も見直すことも重要です。クリニックも選ばれる時代になった今、あらゆる方法での集客は必須と言えるでしょう。
今回は、クリニックで集客が上手くいかない原因と集客の重要性、おすすめの集客方法や成功するポイントを事例付きで解説します。開業したものの、集客に苦戦しているのならぜひ参考にしてください。
なお、本記事では患者を集めること(集患)を「集客」と表記しています。
クリニックで集客が上手くいかない原因
集客が上手くいかないのには、必ず何かしらの理由があるはずです。
やみくもに対策をするのではなく、事前に集客ができない理由を洗い出しましょう。対策を講じるのはそのあとにし、費用や時間をしかるべき場所・方法に使うことをおすすめします。以下の4点は、開業医がよく抱える集客方法の課題です。
- クリニックの認知が取れていない
病院の情報がオープンにされていない、あるいはできて間もないため認知度が低い。通院の選択肢に入りにくいため集客できない。
- 他の病院と差別化できていない
クリニックは基本的に「かかりつけ医」ができやすいため、差別化は必須。特色や強みが不明確なままでは、集客につながらない。
- 口コミ等の評価が低い
ホームページ以外で口コミや評判が低いと集客につながりにくい。特に若年層は、口コミサイトや地図アプリのほか、SNSでも検索する。
- 予約システムがない
インターネットによる予約システムがないと敬遠される可能性がある。予約にかかる手間に加えて、待ち時間が予測しにくいため患者が集まりにくい。
クリニックにおける集客の重要性
クリニックを安定して運営していくには、新規患者の獲得ばかりに目を向けていてはいけません。確かに新規患者の集客も大事です。しかし、それよりもリピート患者を増やすことが重要です。患者側からすれば「かかりつけ医」と認知してもらうことになります。
患者が病院を受診する基本的な流れは以下のとおりです。
- 認知:クリニックの存在を認知する
- 試行:一度受診してみる
- 継続:再診、もしくは別の病気で来院する
- 紹介:別の患者を紹介する
マーケティングにおけるSIPSに近い流れが、クリニックにおける新規患者の獲得方法です。まずは既存患者を作ることから始めても良いかもしれません。
また、新規患者の集客に関しては「プライマリケア」を重視しましょう。個人医院の集客では、プライマリケアが注目されています。端的に言えば、患者がその病院に「かかりやすいか」を追求することです。
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会によると、プライマリケアには明確な定義づけがされていないとしつつも、「地域の医療を担う重要な役割を持つもの」としています。つまり、集客のためには地域のために医療技術を提供できるクリニックがいいとされているのです。
クリニックの集客方法おすすめ8選と比較表
クリニックの集客方法には、いくつかの手段が存在します。昨今のスマートフォンの普及にともなって、病院検索の方法は、従来の紹介からWeb媒体を用いた検索が中心になりつつあります。
その中でも、特におすすめの集客方法をまとめました。費用や手間の関係もあるため、よく比較検討してから実施してください。
費用 | 手間 | 顧客の特性 | |
---|---|---|---|
ホームページ、ブログ | 無料~普通 | かかる | 顕在層 |
Googleビジネス プロフィール |
無料 (広告出稿は有料) |
かかる場合がある | 顕在層 |
SNS | 無料~安い | あまりかからない | 顕在層 (潜在層も含む) |
ポータルサイト | 安い~普通 | かからない | 顕在層 |
Web広告 | 高い | かかる | 潜在層 |
チラシやポスティング | 普通~高い | かかる | 潜在層 |
DM | 安い~高い | かかる | 潜在層 |
オフライン広告 | 高い | かかる | 潜在層 |
ホームページ、ブログ
王道の集客方法がクリニックのホームページやブログです。「眼科 ○○市」「内科 診療時間」などで検索されることから、患者はすでに受診することを決めている場合がほとんど。検索結果でヒットすれば、集客につながるでしょう。
また、不安や悩みが多い小児科や産婦人科の場合は、コラム記事の掲載先としてブログを活用し、クリニックのホームページに誘導する方法もあります。
費用は無料でできるものから、初期投資をして機能やSEO対策を充実させるところまでさまざま。ある程度の予算をかけられる場合はWeb広告に注力してもいいでしょう。
ただしホームページ・ブログの導線が整っていないと効果は薄くなる可能性もあります。詳しくは「集客に強いホームページにするには?コツと集客方法・選び方について解説」をご覧ください。
Googleビジネスプロフィール
「Googleビジネスプロフィール」とは、Googleマップ上に表示される店舗情報を掲載できるサービスのことです。一般的には「Googleビジネスプロフィール」と呼ばれており、無料で編集が可能です。ホームページやブログと同じく、病院にかかることを決めている患者を集客するのに向いています。
純粋なWeb検索に加えてSNSとの相性がよく、集客導線が整っていれば高い効果を発揮します。反面、Googleアカウントを持っている人なら誰でも口コミやレビューを投稿できるため、誤った情報の投稿やマイナスな口コミが掲載される可能性も。
維持管理という面では手間がかかりますが、広告出稿以外は完全無料です。初期費用をおさえたい場合におすすめです。詳しくは「Googleビジネスプロフィールとは?登録方法や利用するメリット・デメリットも徹底解説」をご覧ください。
SNS
TwitterやInstagramなど、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を利用する集客方法もあります。マーケティングの観点でも有効な施策のひとつであり、ユーザーと相互にやり取りができることから潜在層を顕在層に成長させる戦略も可能です。
アカウントは無料で作成でき、極端に言えば何でも投稿することができます。ただし、誤解を招くようなビフォーアフター画像や投稿はNG。厚生労働省が発表している「医療広告ガイドライン」に基づいた運用が必要です。
若年層に対する強みがあるクリニックは、有効な集客手段として継続運用できるシステムを構築しましょう。検索がSNSで行う機会が多い若年層を獲得するにはぴったりです。
ポータルサイト
医療機関におけるポータルサイトとは、さまざまな医療機関の情報を網羅・掲載しているWebサイトのことです。SEO対策を自身でする必要はありません。また、条件を絞って検索してくる顕在層の患者に対して有効な施策でもあります。
検索条件にはクリニックの所在地や診療科目、受付時間などの情報を掲載。手軽に目的の病院が見つかることから、利用者が多いのがメリットです。一方で、ポータルサイトには多くの医療機関、つまり競合医院が登録しています。競争が激しい点には注意する必要があるでしょう。
また、広告掲載費としていくらかの出費が発生することも考えなければなりません。高額というほどではないものの、クリニックの広告費として適正かどうかの判断は必要です。
Web広告
検索エンジン上にWeb広告を表示させて、集客を図る方法があります。SNSの場合はSNS広告と呼ばれ差別化されますが、不特定多数に認知してもらいたい場合にはWeb広告に強みがあります。
入稿費用が比較的高額で、予算に余裕がないと実施しづらいほか、種類が多いため具体的にどの広告を運用すればいいのか分かりにくいのがデメリットです。
効果測定の検証やターゲットの絞り込みには強いという性質があるため、運用して損な媒体ではありません。出向目的やターゲットを明確にしてから行動に移すといいでしょう。
Web広告についての詳細は「Web広告とは?運用するメリットや選び方・主な種類も紹介」で、SNS広告については「SNS広告とは?運用するメリットや主な種類も紹介」で、それぞれ解説しています。
チラシやポスティング
アナログな集客方法として、チラシやポスティングがあります。新聞広告や地域の広報雑誌にチラシを1枚入れ込んでもらったり、直接ポストへ投函してもらったりする方法です。
不特定多数の人の目に触れるため、潜在層・顕在層問わず集客の可能性につながります。また、デジタルノンネイティブ世代をはじめとする、Web媒体で検索することを得意としない人もすくい上げが可能です。
一方でチラシやポスティングには、ターゲットの絞り込みができないデメリットがあります。加えてチラシやポスティングは基本的には単発での実施なので、効果測定が難しい側面もあります。
DM
チラシやポスティングに似ていますが、クリニックの紹介だけではなく、イベントやセミナーの開催をきっかけに集客したい場合はDM(ダイレクトメール)もおすすめです。
時節にあった予防情報の発信などに合わせての発信もできます。アナログ広告のイメージが強いものの、ホームページやSNSとの合わせ技でオンライン上でも実施できます。
デメリットとしては、常に何かしらの情報を提供しなければならない点があるでしょう。また、DMは読んでもらえているのかの効果測定も難しいツールです。また、紙媒体のDMは、費用が高額になる可能性もあります。
オフライン広告
看板、交通、新聞、フリーペーパーなどへの広告をオフライン広告と呼びます。その名のとおりWebを介さない公告方法です。
入稿費用が高額で、大型看板などになれば月額利用料も発生します。また、新聞やフリーペーパーは購読者集が減少傾向にあり、幅広いターゲットにヒットするかと言われれば難しいところです。
一方で繰り返し目にしてもらえることから記憶に残りやすい、紙媒体で残るため、繰り返し見ることができるなどのメリットもあります。今回紹介する集客方法としてはもっとも高額な部類に入るので、慎重に検討することをおすすめします。
クリニックで集客を成功させるポイント
クリニックにおける集客は、価格で勝負できない分、別の側面で対策を練る必要があります。ではどのような観点で考えれば集客できるのでしょうか。以下の3点を参考に考えてみてください。
- 患者のニーズを把握する
診療時間や診療方法、待ち時間をなるべく発生させない仕組みが整っているか。プライマリケアの観点に基づく施策も必要。
- 他の病院との差別化を見せる
診療体制や特化している疾患に対する実績で差別化を図る。土日診療の体制を整えアピールするだけでも差別化になる可能性が大きい。
- 適切な施策を実施する
新型コロナウイルス対策や診療スケジュールの一例を明記するなど。世相などを反映し、患者が安心して来院できるような施策が好ましい。
クリニックが集客に成功した事例
一般的なビジネスとは違って集客方法の制限が厳しいクリニックでも、集客に成功した事例があります。今回は、クリニックにおける集客に成功した事例を2つ、簡単に紹介します。
病院A(循環器内科)
都心部の雑居ビルに開業したため周辺住民は少なく、看板も目立たないことから別の施策を実施。
ホームページの見直しや診療時間の変更、親和性のある「健康診断」によるマーケティングを開始したことで徐々に患者数が増える。
季節性疾患の受診から、現在は慢性疾患患者の受診が増えている。
病院B(内科)
住宅街に開業したため駐車場は広いものの、視認性が悪く集客対策を実施。
大通りへの看板設置と道案内、各種広告を活用し認知数を増やしたことで初診数も増加した。
認知が進んだことで徐々に看板・広告数を減らし、費用面の適正化も実施。
まとめ
クリニックで集客するために必要なのは、今や「口コミ」ではなくネットや紙を用いた「マーケティング」です。
IT技術の発展で、かつてのように人を介して集客することは難しくなり、クリニックが選ばれる時代になりました。既存の患者を大事にして選ばれるクリニックを目指すのはもちろんのこと、新規患者の獲得のためにも新たな施策は必須。
リニックに安定して患者を来院させるために、この記事で紹介した施策を検討してみてください。