UAからGA4（Googleアナリティクス4）への移行ガイド｜手順や注意点を解説

計測の軸

UAでは、データの計測が「セッション」と「ページビュー」を基準にして行われていました。セッションは、ユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでの一連のアクションをまとめたものです。

一方、GA4では、イベントベースの計測が導入されています。GA4はユーザーのアクションをすべて「イベント」として捉え、ページビュー、クリック、スクロール、動画再生など、細かなアクションが独立したイベントとして記録されます。

これにより、ユーザーがウェブサイトやアプリ上でどのように行動しているかを、より詳細かつ柔軟に分析することが可能です。

プライバシーへの配慮

近年のプライバシー保護の強化に伴い、GA4ではプライバシーへの配慮がより強化されています。UAでは、ユーザーのIPアドレスが収集され、クッキーに依存したデータ収集が一般的でした。しかし、GA4ではデフォルトでIPアドレスが匿名化され、クッキーを使用しないトラッキング方法が採用されています。

また、GA4はCCPA（カリフォルニア消費者プライバシー法）、GDPR（EU一般データ保護規則）などのプライバシー規制に対応しやすい構造を持っており、ユーザーのプライバシーを保護しながら、データを収集する仕組みが整っています。

Webとアプリの統合

UAでは、ウェブサイトとアプリのデータを別々に管理しなければなりませんでした。これは、ウェブとアプリを横断してユーザーの行動を分析する際に不便を感じさせるものでした。

GA4では、ウェブサイトとアプリのデータを一元的に統合して管理できる点が大きな特徴です。これにより、ユーザーがウェブサイトからアプリへ、あるいはその逆に移行した場合でも、その行動を一貫して追跡し、クロスプラットフォームにおいてユーザー行動を分析できるようになりました。これにより、より包括的なユーザー行動の把握が可能になります。

データモデル

UAとGA4の大きな違いの一つに、データモデルの変更があります。UAでは、ページビューやセッションから収集できるデータを中心に構造されていました。

しかし、GA4ではすべてのデータがイベントとして記録されます。

この違いにより、GA4ではユーザーがどのような行動を取ったか、どのイベントが発生したかを細かく追跡でき、分析の精度が大幅に向上しています。

機械学習の活用

GA4では、機械学習の活用が強化されており、自動でインサイトを得たり、予測分析ができるようになっています。これにより、ユーザーの将来的な行動を予測したり、異常な動向を自動的に検出することができるようになりました。

これにより、従来のデータを分析するだけでなく、将来のビジネスチャンスを見つけやすくなります。

1.GA4プロパティの作成

最初に、GA4用のプロパティを作成する必要があります。UAのプロパティはそのままでは使用できないため、GA4用の新しいプロパティを設定します。

2.UAプロパティとの連携

GA4プロパティを作成した後は、UAプロパティとの連携を行います。このプロセスにより、UAで収集していたデータをGA4にも活用できるようになります。

3.計測設定

GA4では、イベントベースでの計測が行われますが、コンバージョンの引き継ぎには、従来のUAでのゴールやコンバージョン設定をGA4のイベントとして再定義する必要があります。

4.データの確認

設定が完了したら、GA4の管理画面でデータが正しく収集されていることを確認します。ここでは、イベントやコンバージョンの動作が正常に行われているかを確認し、不足している部分がないかチェックしましょう。

5.並行運用

GA4への移行を完了させた後も、一定期間はUAと並行して運用することを推奨します。GA4は新しいデータモデルを採用しているため、過去のデータとの互換性が完全ではなく、一部の設定やレポートが異なる場合があります。そのため、移行期間中はUAとGA4を併用し、データを比較しながら移行の進捗を確認することが重要です。

一定期間はUAと併用して運用する

GA4は、ユニバーサルアナリティクスとは異なるデータモデルを採用しているため、すぐにUAから完全に切り替えるのではなく、一定期間はUAとGA4を併用して運用することが推奨されます。

併用しての運用をおすすめする理由は、UAではセッションベース、GA4ではイベントベースのデータ収集が行われているため、移行直後にデータにズレが生じる可能性があります。併用期間中に両方のデータを比較し、GA4が正確にデータを収集しているか確認することで、データの整合性を確保できます。

少なくとも数週間から数か月の間、UAとGA4のレポートを定期的に比較しながら、移行が正常に進んでいるかを確認してください。これにより、移行中に発生する可能性のある問題を早期に発見し、修正することが可能です。

一部のデータは移行できない場合がある

GA4とUAは異なるデータモデルを使用しているため、すべてのデータをGA4に移行できるわけではないことに注意が必要です。特に過去のデータやセグメントの一部がGA4に反映されないケースがあります。

その理由はGA4では、イベントベースでの計測が中心となり、UAのセッションベースやページビューのデータがそのままGA4に移行できない場合があります。また、過去の詳細なデータや特定のカスタムディメンション、セグメントは、GA4では異なる形式で扱われることが多いため、完全なデータ引き継ぎが難しいこともあります。

移行前に必要なデータのバックアップを行い、移行できないデータがないかを確認します。過去のデータ分析が必要な場合は、UAのレポートを保存しておき、GA4での運用と合わせて使用することで過去のデータと新しいデータを比較できるようにしておきましょう。

正しく設定されているか定期的に確認する

GA4の設定が正しく機能しているか、定期的に確認することが重要です。特に移行初期は、イベントやコンバージョンの計測が意図した通りに行われていない可能性があるため、設定が正しいかどうかを注意深く確認する必要があります。

その理由はGA4はUAとは異なる設定が必要で、コンバージョンやイベントの計測が正しく設定されていないと、重要なデータが記録されないリスクがあります。例えば、GA4ではコンバージョンが自動で設定されるわけではないため、UAでのゴール設定をGA4でイベントとして再設定する必要があります。

設定後はリアルタイムレポートを活用し、イベントやコンバージョンが正しく発生しているかを確認します。また、定期的にデータをチェックし、設定の見直しが必要な部分がないかを確認しましょう。さらに、新たなイベントが追加された場合やビジネスのニーズが変わった場合には、適切にイベントの設定を見直すことが必要です。