プレスリリースはローカル検索に効果がある?「サイテーション」の視点から考える活用法
「プレスリリースを出すと、Google検索やGoogleマップで上位に表示されやすくなるのだろうか?」 新店舗のオープンや新サービスの開始を控えた店舗オーナー・担当者の方から、こうした質問をいただくことがあります。広報活動には一定の手間とコストがかかるだけに、ローカル検索への効果が見込めるのかどうかは、気になるところではないでしょうか。
今回は、ローカル検索におけるプレスリリースの有効性を扱った海外の議論を起点に「なぜ効果が期待できるのか」「どのような場合に取り組む価値があるのか」を整理します。結論を先にお伝えすると、プレスリリースは順位を直接押し上げる施策ではありませんが、サイテーション(外部での言及)という観点では一定の効果が期待できると考えられています。
ぜひ最後まで読んでみてください。
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1. プレスリリースはローカル検索の「直接的な順位アップ施策」ではない

まず前提として押さえておきたいのは、Googleはプレスリリース経由の順位操作を目的とした作為的なリンクをリンクスパムの一種として扱っており、多くの配信サービスではnofollow / sponsored 属性が付与されています(Google スパムポリシーに基づく業界慣行)。
加えて、サイト自体の評価がそれほど高くなかったりするため、それ自体が順位を押し上げる力は限定的だと見られています。
つまり、プレスリリースの価値は「配信した事実」そのものにあるのではありません。配信をきっかけとして、第三者であるメディアやブログ、業界サイトなどに取り上げられ、そこで自店が言及されることにこそ意味があると考えられています。(出典:Do Press Releases Help SEO for Local Businesses?)
次に、この「言及」が持つ意味を整理します。
2. 鍵を握るのは「第三者にどう語られるか」 ― サイテーションという考え方
プレスリリースのローカル検索における意義を理解するうえで重要になるのが「サイテーション(citation)」という考え方です。
2-1. サイテーションとは何か
サイテーションとは、自店の名称・住所・電話番号といった情報やビジネスの内容が、外部のさまざまな場所で言及されることを指します。リンクの有無にかかわらず、「どこで、どのように語られているか」が評価の手がかりになると考えられています。
サイテーションは、大きく次の二種類に整理されます。
- 構造化サイテーション:ポータルサイトや業種別ディレクトリなど、決まった形式で店舗情報が掲載されるもの。名称(Name)・住所(Address)・電話番号(Phone)をまとめてNAP情報と呼び、正確で最新の情報を掲載し、利用者や検索サービスが同一店舗として理解できる状態にすることが重要とされています。
- 非構造化サイテーション:ニュースサイト、ブログ、業界メディア、地域メディアなどで、文章のなかで自然に言及されるもの。
プレスリリースが関わってくるのは、主に後者の非構造化サイテーションです。報道や記事のなかで店舗が紹介されることが、この種の言及にあたります。
2-2. AI検索での可視性とローカル検索の「知名度」
この「第三者にどう語られるか」という観点は、ローカルSEOの調査で知られるWhitespark社が公開している調査で、評価に関わる要素として報告されています。(出典:7 Local Search Ranking Factors That May Challenge Your Current Thinking)
同調査を紹介した記事では、AI検索での可視性に関わる要素として、非構造化サイテーションの「言及元サイトの質・権威性」と「言及の量」がそれぞれ挙げられています。これはGoogleのアルゴリズムを直接解析した結果ではありませんが、単に数を増やすだけでなく、信頼できる発信元に取り上げられることの重要性を示唆しています。
プレスリリースも、配信ページを増やすこと自体に価値があるのではありません。ニュース性のある情報が地域メディアや業界サイトによる独自の記事掲載につながれば、質の高い非構造化サイテーションや自然なリンク、認知の拡大を生み、ローカル検索における知名度を間接的に補強するきっかけになり得ます。

3. 効果が期待できるプレスリリースの条件
ここで注意したいのは、プレスリリースを量産すれば効果が高まるわけではない、という点です。ニュース性の乏しい更新情報を頻繁に配信しても、メディアに取り上げられず、言及も生まれないため、ローカル検索への寄与はほとんど期待できないと見られています。むしろ、評価の低い配信網を通じた大量配信は、品質の低い施策とみなされるリスクも指摘されています。
効果が期待できるのは、第三者が「報じたい」と感じる、ニュース性のある内容です。具体的には、以下のような題材が挙げられます。
| 題材の種類 | 具体例 | 取り上げられやすい理由 |
|---|---|---|
| 新規性のある動き | 新サービスの開始、新店舗のオープン | 地域の新しい話題として報じられやすい |
| 地域とのつながり | 地域貢献活動、地域イベントへの参加 | 地域メディアの関心と合致しやすい |
| 業界的な価値 | 意味のある調査データ、キャンペーン情報 | 業界メディアの記事素材になりやすい |
| 世間的なトレンド、社会課題との接続 | 業界・地域メディアでの紹介が見込める題材 | 編集者が記事化しやすい話題性を備える |
なかでも「新規性のある動き」は、地域にとって価値のある話題となりやすく、報道や紹介につながる可能性のある好機です。ハードルは決して低くありませんが、こうしたタイミングでは積極的に活用する価値があると考えられます。なお、プレスリリースには、所在地となる市区町村名など、地域が特定できる情報を盛り込んでおくと、地域メディアや読者との関連づけがされやすくなります。

4. AI検索時代に高まるニュース性の価値
プレスリリースの価値は、近年の検索環境の変化によって、さらに見直されつつあります。検索結果の上部に生成AIによる回答が表示される機会が増えるなか、AIは複数の情報源を横断して内容を要約・提示するようになっています。
こうした検索環境では、ニュース性のあるコンテンツや第三者による言及が、AIの参照候補になる可能性があります。プレスリリースをきっかけに報道や記事で取り上げられた場合、AI検索における引用・参照機会の向上へ間接的につながることも考えられます。
クチコミがAIやユーザーに読まれる情報源になりうるのと同様に、プレスリリースを起点とした外部での言及も、AIが店舗やサービスを把握するための手がかりのひとつとして捉えられます。
5. まとめ ― 「やらない理由がない施策」になるとき
本記事では、ローカル検索におけるプレスリリースの位置づけを、サイテーションという観点から整理しました。要点を改めて確認します。
- プレスリリースは順位を直接押し上げる施策ではないが、サイテーション(外部での言及)としては一定の効果が期待できると考えられている
- 「第三者にどう語られるか」は調査結果から、重視される要素と考えられる
- 量産には意味がなく、新店舗オープン・地域貢献・意味のあるデータなど、ニュース性のある題材が効果的とされる
- ニュース性のあるコンテンツはAI検索でも拾われやすく、視認性の向上につながる可能性がある
ローカル検索において、プレスリリースは必ず取り組むべき必須施策というわけではありません。しかし、新店舗のオープンやニュース性のある動きといった条件がそろった時には「やらない理由がない施策」になりえます。
広報の機会が訪れた際には、単なるお知らせとして終わらせるのではなく、第三者に語られることを意識した題材選びと情報発信を行っていくことで、ローカル検索やAI検索における存在感の向上につながっていく要素となります。
ぜひサイテーションの観点を、自店の情報発信に役立てていただければ幸いです。
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