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マーケティングで重要なペルソナの作り方|失敗しないポイント・成功事例を紹介

マーケティングで重要なペルソナの作り方|失敗しないポイント・成功事例を紹介
マーケティングにおけるペルソナとは、自社の商品・サービスの利用ユーザーを体現するための仮想的な人物像のことです。ペルソナを利用してマーケティングを実施すると、ユーザーに響いた商品・サービスを創造することが可能になります。

本記事では、ペルソナの基礎知識と作り方、成功事例などを解説します。

マーケティングにおける「ペルソナ」とは

マーケティングにおけるペルソナとは、自社商品・サービスを利用する架空の人物像のことです。ペルソナとはラテン語の「persona」を語源とし、心理学者ユングが「人間の外的側面」をペルソナと呼んだことからマーケティング業界で広く使われるようになりました。

マーケティング業界ではペルソナマーケティングという概念があり、詳細に作り込んだ商品・サービスのターゲット像に対して、宣伝から販売までの戦略を立てるマーケティングスタイルのことを意味します。ペルソナとして設定する項目が詳細であればあるほど特定の1人にまで絞り込むことができます。ペルソナが何を望んでいるのかを考えることによって、消費者需要を過程して真に求めえる商品・サービスを突く出すことができるのです。

昨今、ペルソナは古い・時代遅れという意見も聞きます。もともとマーケティングで利用されるペルソナは、ネット社会になる以前の、紙媒体が主体の広告マーケティングで使われてきた手法でした。ネット社会になった今でも従来の広告マーケティングで用いられるペルソナ設定を行ったため多くの失敗事例が発生したため「ペルソナ=古い」という方程式が出来上がってしまったのです。

しかし、現代においてもペルソナ設定は有効活用できます。ネットの普及や顧客ニーズの多様性に合わせてアップデートさせれば、現代にマッチしたペルソナを発見できます。よって、ペルソナは古くなったのではなく、設定項目の幅や深さが変わってきているだけなのです。

ペルソナとターゲットとの違い

ペルソナとターゲットとの違い

ペルソナとターゲットは、人物を設定する範囲に違いがあります。

ターゲットとは、自社商品・サービスを利用する可能性の高いユーザーを指します。年代や職業・職業・性別・既婚未婚などの「属性」で分類して想定ユーザーをグルーピングし、集客したい見込み客を絞り込んで設定していきます。

ターゲット設定では、例えば「30代男性」「●●県在住のサラリーマン」などある程度「属性」がわかる程度の人物像を想定します。一方ペルソナは、ターゲットを具体化した人物像で、「氏名・居住地・年齢・性別・趣味・職業・年収・・・」など、個人が特定できるまで作り込んできます。

ターゲット設定よりもペルソナ設定の方が手間と時間がかかりますが、消費者の生活様式やニーズが多用になった現代では、より具体的な顧客理解に基づいたマーケティングが必要になりました。ペルソナ設定では外面的な情報だけでなく、内的・心理的要素も重要視する点が大きな違いといえるでしょう。

ペルソナを設定するメリット

ペルソナを設定するメリットは以下の通りです。顧客像を設定できるだけでなく、社内メンバー間との協調性にも好影響を与える重要な施策といえます。

  • 理想とする顧客像を予想できる
    ペルソナは多くの情報をもとに心理的側面も含めて詳細に設定していくため、ターゲット像よりも精度の高い顧客像を想定できます。いわば一つの人格のようなものが出来上がるのです。そのため、ペルソナに響く表現やアプローチの方向性が明確になります。
  • 顧客ニーズに合わせた商品・サービスを作れる
    ペルソナによって顧客ニーズを把握できれば、開発すべき商品・サービスの要素も絞れてきます。さらに認知・来店・購入につなげる具体的な手法もイメージしやすくなります。ペルソナのニーズがわかれば同じニーズを持った顧客にもアプローチすることができます。具体性をもった人物像であるペルソナですが、最終的には多数の顧客へのアプローチを可能にします。
  • 協働メンバー間で認識を統一できる
    ターゲット設定でマーケティング業務を進めてしまうと、協働メンバー間で認識のズレが発生してしまいます。個人個人で顧客像が異なってしまうと商品・サービスやマーケティングの方向性などを修正する必要が生じてしまうでしょう。それでは費やした時間と労力が無駄になってしまいます。そこでペルソナまで顧客像を落とし込んでおくと、全員一致した情報を共有できるため、スムーズに業務を進めることができます。また、メンバー間のコミュニケーションが深まり、より質の高い議論を行うことができます。

ペルソナの作り方

ペルソナの作成手順は以下の通りです。

  • 自社分析を行う
  • 想定するペルソナの情報を集める
  • ペルソナ作成項目を設定する
  • ペルソナ像を具体化する
  • ペルソナを確認する

ペルソナを作るには、ペルソナに関する情報を集めることに注力しがちです。もちろん重要なことではありますが、最初に行うべきは「自社分析」です。自社の強み・弱み、競合との違いなどを理解することでその後のペルソナ作りに活かすことができます。地道な作業となりますが、一つの人格といえるまで掘り下げられたペルソナが出来上がれば、より高度なマーケティング活動が行えるでしょう。

自社分析を行う

自社分析を行う

自社分析とは、自社の商品・サービスがもつ強みや競合に劣る弱み、市場における立ち位置を知るための作業です。ペルソナマーケティングの場合、一般的に3C分析というフレームワークを用いて行います。3C分析とは、「Customer:市場・顧客」「Competitor:競合」「Company:自社」の視点から顧客や市場・競合他社の動向、自社の強み・弱みをコンパクトに分析できます。

3Cの視点で考察しておくと、客観的に自社商品・サービスへの理解が深められ、成功要因や課題発見につなげることができます。

ここで行う自社分析で得た情報は、次降のペルソナ作成で重要な項目となります。なお、自社分析は一度行ったら終わりにするのでなく、自社を取り巻く環境の変化に合わせて定期的に見直しするとよいでしょう。

想定するペルソナの情報を集める

自社が集客したいペルソナに関する情報を集めます。情報の集め方は主に以下の方法が使われます。

  • インタビューやアンケートの実施
  • 既存データの活用
  • Web解析データの活用

一つの方法だけなく、あらゆる方法を駆使してできるだけ多くの情報を集めましょう。情報源が多ければ多いほど、ペルソナを多角的に分析することができます。

インタビューやアンケートの実施

自社の商品・サービスを購入した顧客に対してアンケート(定量調査)やインタビュー(定性調査)形式で感想を募る方法です。実在する顧客となるため、自社にとって都合の良い顧客ばかりではありません。時には辛辣な感想もあるかもしれませんがリアルなペルソナ像に近づけるためには大切な情報です。調査内容は鮮明なペルソナ設定が行えるようなものにしましょう。例えば基本的な属性情報に加え、購入のきっかけや満足・不満足のポイントなどを挙げましょう。

既存データの活用

既存とは、社内で保有する顧客情報や市場で出回っている調査・分析情報(一次情報)などを参考にします。社内外のデータを組み合わせることにより、より顧客像を現実的なものへと近づけることができるでしょう。以下、統計データを公表しているサイトを挙げておきます。

Web解析データの活用

自社のオウンドメディアがあれば、アクセスログの解析でユーザー行動を調査することができます。いつどのタイミングで購入したか、どのページにアクセスしたのかなど詳細な情報を把握できるため、ニーズの高いペルソナ像を作る手がかりになります。なお、Web解析に便利なツールとしてGoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールがあります。ペルソナ設定ではぜひ活用したいツールです。無料で使えるので導入をおすすめします。

ペルソナの設定

ペルソナの設定

ここではペルソナの骨格となる部分を作ることを意識しましょう。先ほどのアンケート調査や既存情報なでで得た情報を箇条書きで整理します。また、ペルソナ設定に役立ちそうな派生情報もあれば加味して作成していきます。以下、一例として項目を挙げます。

  • 年齢
  • 性別
  • 職業
  • 年収
  • 趣味
  • 特技
  • 住んでいる地域
  • 一人暮らしか実家暮らしか
  • 休日のインターネット利用時間
  • 利用するSNS など

さらにペルソナをもっとリアルにイメージできるようにストーリーを肉付けします。一つ物語の登場人物を作るように情感豊かに作り込んでいきます。例えば上図の例に挙げると、以下のように肉付けできます。

  • 東京都○○区在住の山田太郎30歳。新卒で入社した飲料メーカーの営業担当として8年が経過した。
  • 仕事にも慣れ、上司からの評価も良く、順調な日々を送っている。そのような日々の中、さらなるステップアップとして学生時代から得意だった英語を活かして海外事業部で働きたいと思うようになった。
  • 通勤時間・移動時間・帰宅後に英語のスキルアップとしてTOEICの勉強を始めた。英語は好きで得意だが、なかなか点数が上がらず勉強が伸び悩んでいる。
  • どうにかして点数を上げるために忙しいサラリーマンでも効率的に勉強できる方法はないかとインターネットで「TOEIC 勉強方法」を検索してみた。

ペルソナを確認する

ペルソナのストーリーが出来上がったら、先に集めたアンケートやインタビュー情報とのズレがないか検証しましょう。特に理想を飛び越えるような現実をかけ離れた人物像になっていないかをチェックしましょう。

正しいペルソナ像をつくるには、実在する顧客を投影してすることが大切です。マーケティングや商品企画にヒントを与えてくれるのが本来のペルソナ像であるため、現実離れした設定はしないようにしましょう。

ペルソナマーケティングの活用・成功事例

ペルソナマーケティングの代表的な成功事例を紹介します。BtoBとBtoCそれぞれで成功を収めた企業事例を知ることでペルソナマーケティングの効果が理解できるでしょう。以下の企業について説明します。

  • Soup Stock Tokyo(BtoC)
  • 日立グローバルライフソリューションズ(BtoB)

Soup Stock Tokyo(BtoC)

Soup Stock Tokyo(BtoC)

出典:https://www.soup-stock-tokyo.com/

ペルソナマーケティングの成功事例として代表的といえる企業は、「Soup Stock Tokyo(スープストック東京)」です。食べるスープがコンセプトのスープ専門店です。わずか10年で売上高42億円、店舗数52店舗という急成長を遂げました。

Soup Stock Tokyoのペルソナは「秋野つゆ」という37歳の都心で働くキャリアウーマンです。このペルソナの属性は、例えば以下のような項目で設定されました。

  • 装飾性よりも機能性重視
  • フォアグラよりもレバーが好き
  • プールでは豪快にクロールで泳ぐのが好き

このように趣味嗜好・行動まで具体的なイメージができるほどにペルソナを作り込みました。

この秋野つゆというペルソナをいかに満足させられるかという方針で商品企画や店舗の雰囲気などを決定していきました。

たった1人のターゲット像に向けて店舗運営に関わる全てを決定したため、結果、多くの同じような感情や感覚をもった人の心に響くことに成功しました。

日立グローバルライフソリューションズ(BtoB)

日立グローバルライフソリューションズ(BtoB)

出典:https://www.hitachi-gls.co.jp/

BtoBのペルソナマーケティングで成功した有名な事例として挙げられるのが「日立グローバルライフソリューションズ(旧・日立アプライアンス株式会社)」です。業務エアコンの市場シェアを9.8%から11.1%へアップさせた成功事例です。

自社のエンドユーザーと直接やり取りをする設備店に着目した点が斬新でした。ペルソナの名前は「旭立信彦」という設備店の経営者で、設備店1800社以上にアンケートとインタビューを実施してリアルな現場の声を集めました。エンドユーザーに直接商品を提供する設備店の課題を解決すべく成功につなげることができました。

BtoBのペルソナマーケティング

BtoBのペルソナマーケティングの成功事例を紹介しましたが、ペルソナマーケティングはBtoBにおいても有効な施策です。ただし、BtoCの場合と異なる点があるので注意が必要です。BtoBは個人のライフスタイルや価値観を見出していくのではなく、ビジネス的な側面を詳細に設定すうことが重要になります。

BtoBの場合、製品・サービスを購入するのは組織です。そのため、「会社ペルソナ」を作成することがポイントになります。また、直接の購買担当者をペルソナも併せて設定することも有効です。

BtoBのペルソナは主に以下のような設定項目が重要になってきます。

会社ペルソナ 担当者ペルソナ
業種
企業規模
スタッフ数
売上高
担当者所属部署
社風
競合 など
所属部署
社歴
役職
決済権
業務上の悩み・展望
情報収集法 など

カスタマージャーニーマップへの活用

ペルソナはカスタマージャーニーマップを作成にも活用できます。カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動や思考を把握するために必要な考え方であり、フレームワークとなるもので、ペルソナの効果を高めることができます。

カスタマージャーニーを策定するためにペルソナの存在は不可欠です。ペルソナの設定が作り込めていれば、カスタマージャーニーを作ることができ、分析結果をペルソナマーケティングに活かすことができます。

ペルソナマーケティングは、顧客の深い理解が成功のポイントといえます。顧客を理解するためには、詳細な分析が重要になってきます。そして、分析をもとに作り上げたペルソナ像をカスタマージャーニーマップに落とし込み、ペルソナがカスタマージャーニーの過程で何を使い何をしたのかをひとつひとつ行動分析できれば、より具体的なペルソナマーケティングが可能になるのです。

ペルソナ設定は定期的な見直しが必要

ペルソナマーケティングにおいて、ペルソナの設定は必要不可欠なものです。そのため、架空の人物を想定することは意味がありません。そのため、あくまでも現実に基づいたリアルな人物像を設定しましょう。決して自社の都合に合った人物像にならないように注意が必要です。

そして、ペルソナマーケティングを実施している最中も定期的な見直しが必要です。ペルソナは分析を重ねた結果作り出した想定人物像なので、実際の顧客とのズレやギャップが出ることもあります。そもそも設定したペルソナが間違っていることもあるかもしれません。

このような事態に対応するためにもペルソナの見直しが重要になってきます。現実の顧客とすり合わせながら、異なる点が発覚したら修正していきましょう。

まとめ

ペルソナは、マーケティング施策に重要な役割を果たします。効果的に活用するためには、いくつかのステップを踏んで作成することが求まれます。

そのため時間がかかりますが、作り込まれたペルソナはその後のマーケティング活動を成功にもたらすものなるので、きちんと作成していきましょう。

ぜひ本記事を参考にペルソナマーケティングを充実したものにしてください。

プロフィール
大澤 健人(おおさわ けんと)
GMO TECH株式会社 大澤 健人(おおさわ けんと)大澤 健人(おおさわ けんと)のFacebook
2012年より一貫して検索エンジン領域のコンサルティング業務に従事。 2017年にGMO TECH社に参画。営業組織の構築、新商材開発、マーケティング部門立ち上げをおこなう。 現在、MEOコンサルティング、SEOコンサルティング、運用型広告などSEM領域全体を統括し、 お客様の期待を超える価値提供を行うため日々、組織運営・グロースに奔走している。

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