インタビュー記事の書き方｜質問内容から形式ごとのレイアウトまで例文付きで紹介

ルポ形式（三人称形式）

ルポ形式は、インタビュアーが取材内容を第三者の視点で再構成し、論理的に伝えるインタビュー記事の書き方です。構成しやすく情報量が多いのが強みですが、人柄や臨場感が伝わりにくい点には注意が必要です。

専門性の高い話題や、事実を整理して伝えたい場面に適しています。見出しで話題を区切り、発言は引用符で明示するなどの工夫で読みやすさが高まります。

【ルポ形式のレイアウト例】

タイトル・導入：取材対象者の魅力や取材の背景を簡潔にまとめる
例：「A社の成長を支える”現場力”とは──リーダーB氏が語る変革の舞台裏」

見出しの活用：ストーリーに区切りをつける中見出しを活用し、話題の転換を明確に
例：「現場で見た課題とは」「取り組んだ改革」「成果とこれから」

引用の挿入：発言部分は「」でくくり、文中に自然に溶け込ませる
例：「あのときは本当に迷いましたね」と彼は振り返る。

写真の配置：文中に補足として挿入。状況説明や雰囲気を補完する目的で使用
例：インタビュイーが作業している様子や現場の風景など

文末のまとめ：取材者視点での考察や今後の展望で締めくくる

Q&A形式（対談形式）

Q&A形式は、質問と回答が交互に並ぶ構成で、実際の会話に近いインタビュー記事の書き方です。テンポよく読めて、話し手の人柄や臨場感が伝わりやすいのが特徴です。ただし、情報の整理が難しく、話題が多いとまとまりづらくなる場合もあります。

話者名や肩書を明記し、質問は太字、回答は通常文とするなど視覚的に区別することで、読みやすく分かりやすい記事に仕上がります。

【Q&A形式のレイアウト例】

冒頭紹介：インタビュイーの簡単なプロフィールと、インタビューのテーマを記載
例：「本日は、マーケティング部のCさんに”売上回復の秘策”について伺いました。」

話者名表記：Q（インタビュアー）、A（インタビュイー）を明示
例：
Q：最近の取り組みで印象的なことは？
A：社内全体で取り組んだ新商品のPRキャンペーンですね。

質問の視覚的差別化：質問は太字・行間広めなどで視認性アップ
例：太字＋改行、アイコンや色の活用も可能

写真や画像の配置：回答に表情やエピソード性がある場合は、人物写真や関連画像を配置
例：笑顔で語る姿や、紹介している商品写真など

会話のテンポ感を大切に：長文回答は分割して改行を入れると読みやすい

モノローグ形式（一人称形式）

モノローグ形式は、インタビュイーが自身の言葉で語るように構成するインタビュー記事の書き方です。語り手の想いや背景がダイレクトに伝わるため、ストーリー性や共感を重視したい場合に向いています。

一方で、構成や話題の転換が難しく、編集スキルが問われます。段落ごとに話題を整理し、補足情報や写真は文中に自然に挿入することで、読みやすく印象的な記事に仕上がります。

【モノローグ形式のレイアウト例】

リード文（語り出し）：対象者の語り口で主観的に始める
例：「あの日、自分の選択が正しかったのかどうか、今も時々思い返します。」

段落分け：話題ごとに段落を整理し、読みやすく構成
例：「入社当初の不安」「壁を乗り越えた経験」「今後の目標」など

引用の表現方法：重要なキーワードや印象的な言葉を段落冒頭や中盤で強調
例：「”あきらめない”という気持ちが、今の私を支えています。」

写真や補足情報の挿入位置：インタビュイーが語るエピソードの近くに関連写真を配置
例：語っているシーンや開発中の製品、資料の抜粋など

締めの構成：語り手の視点で未来への展望やメッセージで締めくくる
例：「これからも”変化を楽しむ”姿勢を忘れずに進んでいきたいと思います。」

インタビュー記事の目的を明確にする

インタビュー記事を作成する際、まず明確にすべきなのが「なぜこの記事を作るのか」という目的です。「インタビュー記事を作りたい」という段階では、まだ曖昧すぎます。導入事例の紹介なのか、新商品のプロモーションなのか、採用強化が目的なのかによって、記事の構成や質問内容が大きく変わってきます。

目的が明確になれば、ターゲットとなる読者層や、記事を読んだ後に読者に取ってほしいアクションも自ずと見えてきます。例えば、サービス導入事例の記事であれば、同様の課題を抱える企業担当者をターゲットに、資料ダウンロードや問い合わせを促すことが目的となるでしょう。目的に応じたインタビュー記事の企画例は以下の通りです。

インタビュー対象者やサービスについてよく調べる

リサーチ不足のまま臨むと、的外れな質問になり、信頼を損ねかねません。対象者のプロフィール、企業情報、サービス内容、業界動向、過去の記事など5項目を重点的に調べるのが基本です。公式サイトやニュースリリース、SNSなど複数の情報源を活用しましょう。

記事の構成を作成する

インタビューの目的から逆算して、記事で必要な情報を洗い出し、構成を組み立てておくことが重要です。基本的には「過去→現在→未来」の時系列構成が効果的で、読者にとっても理解しやすくなります。1時間の取材なら、10〜15問程度の質問に絞るのが適切です。

質問リストを作成し事前に共有する

質問リストは、インタビュイーが心の準備をするためにも、事前に共有しておきましょう。質問にはそれぞれ「なぜ聞くのか」という意図を持たせることが大切です。中でも“この記事の核”となる質問は、より深く聞けるよう準備しておくと、説得力ある記事に仕上がります。

アイスブレイクで話しやすい雰囲気を作る

アイスブレイクとは、本題に入る前に軽い会話で場の雰囲気を和ませる手法です。とくに初対面の場合は、リラックスした環境を作ることが重要です。

天気や季節の話題、オフィスの雰囲気などが好適です。リサーチでわかったインタビュイーの趣味や関心事に触れるのも効果的でしょう。

「本日はお時間をいただきありがとうございます。御社のオフィス、とても開放的ですね」「先日のブログを拝見しました」など、相手に関する話題から入ると自然な流れが作りやすくなります。

5W1Hを意識して質問を投げかける

インタビューでは、5W1H（Who・When・Where・What・Why・How）を意識することで、より深い情報を引き出せます。特に「Why（なぜ）」と「How（どのように）」は、考えや経験を掘り下げるのに効果的です。

質問を広げる3つの軸：

一つの話題について最低でも3回は質問を重ねることで、表面的な情報だけでなく、背景にある思いや具体的なエピソードを引き出せます。

メモより会話に集中する

インタビュー中は、メモを取ることに集中しすぎず、会話を優先しましょう。メモに集中しすぎると、アイコンタクトが減り、相手に「ちゃんと聞いてもらえているのか」という不安を与えます。

インタビューは必ず録音または録画するのがおすすめです（事前に許可を得ること）。バッテリー切れや機器不調に備え、複数の機器で録音するのが理想的です。

メモは重要なポイントや、あとで質問したい内容のキーワードを簡潔に書き留める程度にとどめましょう。詳細は録音データから後で確認できます。

また、うなずきや相づちなどで「あなたの話に興味を持っています」というメッセージを伝えることも大切です。特にオンラインの場合は、やや大げさなリアクションを心がけるとよいでしょう。

インパクトのある発言や数字を引き出す

インタビュー記事を魅力的にするためには、インパクトのある発言や具体的な数字を引き出すことが重要です。これらは記事のタイトルや見出しに使用でき、読者の興味を引く要素になります。

「導入効果がありました」という抽象的な回答には「具体的にどのような効果がありましたか？数字では？」と掘り下げることで、「売上が前年比150%に増加」といった具体的な回答を引き出せます。

予定していた質問以外の雑談からも、思わぬエピソードが聞けることがあります。インタビュー後の何気ない会話も大切にしましょう。

「一言でいうと、〇〇とはどのようなものですか？」「最も印象的な出来事は？」といった質問で、記事のハイライトになるようなフレーズを引き出す工夫も効果的です。

導入事例インタビューでの質問例

導入事例インタビューは、サービスや製品を実際に導入したクライアントに話を聞く記事です。このタイプのインタビューでは、読者（潜在顧客）が抱える課題と解決策の提示、導入後の効果を具体的に引き出すことが重要です。

時系列に沿って「導入前の課題→導入の決め手→導入後の効果」という流れで構成することで、読者にストーリーとして伝わりやすい記事になります。

社員インタビューでの質問例

企業の魅力や雰囲気をリアルに伝えることで、採用活動やブランド力強化につながります。個人の体験を中心に引き出すのがポイントです。

開発者・専門家インタビューでの質問例

開発者や専門家へのインタビューは、製品・サービスの技術的背景や専門知識を深く掘り下げる機会です。このタイプのインタビューでは、専門性の高い内容を読者にわかりやすく伝えることが重要です。

経営者・起業家インタビューでの質問例

経営者や起業家へのインタビューでは、ビジネスの立ち上げから成長までのストーリーや、経営哲学、業界の展望などを引き出すことが重要です。このタイプのインタビューは、ビジネスパーソンや起業を目指す人々にとって、インスピレーションやノウハウの源となります。人間味のあるエピソードと共に、ビジネスの本質的な洞察を引き出すことを心がけましょう。

イベント・プロジェクトインタビューでの質問例

イベントやプロジェクトに関するインタビュー記事では、企画の背景や目的、過程での工夫、成果などを明らかにすることが重要です。読者にイベントの全体像と魅力を伝えるとともに、その先にある展望も示すことで、継続的な関心を促すことができます。主催者や関係者の情熱や苦労話を引き出すことで、より臨場感のある記事になります。

一目で読みたいと思わせるタイトルを付ける

タイトルは読者のクリックを左右する重要な要素です。内容を端的に伝えつつ、印象的な言葉や数字を含めることで関心を引きます。曖昧なタイトルはスルーされがちなので、具体性と独自性を意識しましょう。

【良いタイトル例】

「導入から3ヶ月で売上150％UP！○○社が語る成功の舞台裏」
「なぜ彼は若くして億万長者になれたのか？成功の裏側に迫る」

【悪いタイトル例】

「新商品について聞いてみました」
「経営者へのインタビュー」

良いタイトル例は具体的で読者の興味を引くキーワードが含まれており、「この記事を読むと何が得られるか」が明確です。一方、悪いタイトル例は情報が乏しく、読者が「なぜこの記事を読むべきか」という理由を示せていません。

数字やデータを活用する

抽象的な表現よりも、具体的な数字を示すことで読者に強い印象を残せます。「売上が増えた」ではなく「売上が2倍になった」と伝えることで、説得力と信頼性が格段に向上します。インタビュー中から意識的に数値を拾う視点が大切です。

インタビュイーの言葉を適切に編集して伝える

話し言葉をそのまま文字にすると読みにくく、意味が伝わりづらくなることがあります。冗長な表現や口癖を整理し、文脈が伝わるよう丁寧に編集しましょう。個性は残しつつ、読者に伝わる表現を心がけます。

【専門用語の言い換え例】

「オンボーディング」→「新入社員の立ち上げ支援」
「UX」→「ユーザーが使いやすいと感じる体験」
「ROI」→「投資に対する収益率」
「CRM」→「顧客関係管理システム」

専門用語を言い換える際は、読者のレベルに合わせて調整することが大切です。ターゲットが専門家であれば専門用語をそのまま使い、一般読者向けであれば平易な言葉に置き換えると良いでしょう。

最後のまとめでは記事全体の要点を述べる

インタビュー記事の最後には、必ず「まとめ」の部分を設けましょう。添付資料では、インタビュー記事のまとめでは記事全体の要点を3〜5つ程度にまとめ、簡潔な箇条書きで記載することを推奨しています。

全ての読者が記事の内容を詳細に読むわけではなく、流し読みする読者も多いため、記事の核心部分を簡潔にまとめておくことで、どんな読者にも主要なメッセージを伝えることができます。また、まとめ部分でインタビューを通じて感じたことや学んだことを記載する方法もあります。

効果的なまとめは、記事の内容を振り返るだけでなく、読者に行動を促す役割も果たします。例えば、インタビューから得られた知見を実践するよう促したり、関連する記事へのリンクを設置したりすることで、読者のさらなるアクションを促すことができます。