AIがお店を探すとき、頼りにしている情報とは?
約44万件のAI回答分析でわかったGoogle AI検索を支える「店舗情報基盤」の実態
本記事は、Ahrefs Brand RadarのデータをMCP経由で取得し、日本のGoogle AIモードにおけるローカル21業種・約11件のAI回答を4時点にわたって分析した調査結果をもとに、AIモードの引用構造の実態と、MEO担当者が今押さえておくべき実務ポイントを解説します。
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GBPの情報は、AIモードの回答にどれだけ使われているのか
調査の出発点は、シンプルな問いでした。Googleビジネスプロフィール(GBP)の情報は、AIモードの回答にどの程度使われているのか。これが数字でわかれば、GBP運用がAI検索対策にどれだけ寄与するのかを可視化できるはずだと考えました。
対象をGoogle AIモードに絞ったのは、ChatGPTなど他社AIがGBPの内部データを同じ前提で参照できるとは考えにくいためです。GBPの効き目を測るなら、GBPを自前で持つGoogle自身のAIを見るのが筋だと判断しました。
ところが、実際にローカル21業種のAIモード引用を調べてみると、当初は想定していなかった事実が浮かび上がってきました。本日では、その内容を解説します。
調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データソース | Ahrefs Brand Radar API(cited-pages/ai-responses)をMCP経由で取得 |
| 対象プラットフォーム | Google AIモード(udm=50、日本語・country = jp) |
| 観測時点 | 2026年5月6日/5月27日/6月17日/7月4日の4時点 |
| 分析対象 | ローカル21業種(飲食・美容・宿泊・不動産等10業種+医療・ヘルスケア11業種)に該当する約109,529件のクエリ(延べ約44万回答)+非ローカル対照3業種(生命保険・カード・転職) |
| 集計単位 | ①URL種別ベース(上位1,000被引用URL中の店舗カード比率)/②引用回数ベース(被引用回数で加重した比率)/③回答面出現率(各業種上位100回答中、店舗カードを1つ以上引用する回答の割合) |
| 実機検証 | 2026年7月7日にGoogle AIモードで実店舗の引用を目視確認 |

Google AIモードの引用構造でわかった5つの事実
事実1:AIモード回答の約7割が「Google店舗カード」を根拠に引用している
ローカル21業種を対象に、各業種の上位100回答(relevance順)をサンプリングしたところ、回答の平均69%が、Googleの店舗・場所エンティティ(以下、店舗カード)を1つ以上、根拠として引用していました。
この“到達率”は5月時点ですでに約69%あり、観測期間を通じてほぼ横ばい(高止まり)です。ただし業種差は大きく、23%〜91%まで幅があります。「近くの店」を探すAI回答では、すでに大半が「Google自身」の店舗台帳を出典に含んでいる状態だと言えます。
事実2:変化しているのは「到達率」ではなく「引用に占める密度」
回答面での到達率がほぼ横ばいである一方、上位1,000件の被引用URLに占める店舗カードの比率(引用回数ベース)は、2か月で平均38.0%から48.8%へ上昇していました(21業種中17業種で増加、横ばい2業種、低下2業種)。
7月4日時点では、居酒屋87.5%、ホテル79.9%、内科63.1%など、9業種で引用の過半を店舗カードが占めています。つまり「回答への到達は早期から高い水準にあり、その中身の密度がさらに濃くなっている」という二段構えの変化が起きています。

事実3:店舗カードURLの正体は、Googleのナレッジグラフだった
引用元パネルに「Google」として表示されるこの店舗カードのURL(searchviewer/viewer・place)を解読すると、いずれもナレッジグラフのエンティティID(/g/…)に解けることが確認できました。実在店舗との照合例では、実際のお店と一致しています。
これは、事業者が編集するGBPページそのものではなく、Google側が管理する店舗・場所エンティティを指すURLです。情報源はGBP単体ではなく、Googleマップ・ビジネスプロフィール・ナレッジグラフ・クチコミ・Web上の補完情報が統合されたものであり、GBPはその台帳に事業者が介入できる主要な入口という位置づけになります。
事実4:強く効く業種と、そうでない業種がはっきり分かれる
業種別に見ると、店舗カードの引用比率には明確な濃淡がありました。

| 類型 | 代表業種(7/4シェア) | 読み取れること |
|---|---|---|
| 強・上昇 | 居酒屋87.5%・ホテル79.9%・美容室71.3%・内科63.1%・皮膚科60.7%(すべて上昇) | 「店舗を選ぶ」意図が極めて強い領域。比較・決定を急ぐユーザーに、GBP実体が直接提示されやすい |
| 中・急上昇 | ラーメン48.0%(+32pt)・焼肉50.5%(+30pt)・カフェ42.8%(+21pt) | 「情報収集」から「店舗選択」へ移るグラデーション領域。この2か月で急速に浸透 |
| 横ばい〜低下 | 耳鼻咽喉科44.7%(−2.0pt)・小児科32.2%(−3.0pt) | 個別要件や信頼性の重みが強く、店舗カードだけで完結しにくい領域 |
| 低位 | フィットネス9.8%(+6.5pt)・脱毛24.4%(+14.5pt) | 指名検索や大手チェーン中心で、店舗カードが出にくい領域 |
| ゼロ | 生命保険・カード・転職(対照) | 来店を伴わない「純粋な情報・契約インテント」領域では、店舗カードは観測されなかった |
非ローカル業種で終始0%だったことは重要です。これは「AIが何でも自社データを優先している」わけではなく、「実店舗を探す」ローカル意図に固有の現象であることを示しています。
事実5:医療・ヘルスケア系の低下は、単純に「信頼を失った」わけではなさそうだ
耳鼻咽喉科・小児科などで見られた低下を、店舗情報の信頼度が下がったと単線的に解釈すべきではありません。AIモードでは、ユーザーの質問をサブクエリへ自動分解して並列検索する「Query fan-out(クエリ・ファンアウト)」の挙動が知られています。
症状・受診目安・夜間対応といった「相談・情報探索型」のサブクエリが展開された場合、医療機関の店舗カードではなく医療情報ページや公的機関のページが引用され、結果として店舗カード比率が“相対的に”下がることがあり得ます。業種差のすべてを店舗情報の品質だけで説明することはできない、というのが本稿の見立てです。
求められるのは「MEO」概念のアップデート
従来のGEO/LLMOの議論は、「AIに引用されるコンテンツを外部Web上にどう作るか」というSEOの延長線上に偏りがちでした。しかし今回の観測は、ローカル検索領域では外部Webページだけでなく、Google自身が管理する店舗・場所エンティティが、AI回答の重要な参照元になっている可能性を示しています。
Google公式も、AI Overviews/AIモードについて「特別なAI専用最適化ではなく、通常のSEOの基本が引き続き重要」であり、構造化データと可視本文の一致・ビジネスプロフィール情報の最新化が重要だと説明しています。同じ構図で言えば——良いSEOの土台がAI検索の土台になるように、良いMEOの土台は、ローカルAI検索の土台にもなる、というのが本稿の示唆です。

本章を読む前提(因果と効果範囲)
本調査は、AIモード回答内でGoogle管理の店舗カード系URLがどの程度使われているかを観測したものであり、GBP更新がAIモードでの露出増を直接引き起こすことを証明するものではありません。また、引用元URLの構成を分析したものであり、AIモード画面上での視認性・クリック率・予約や問い合わせへの寄与は直接測定していません。実務上の示唆は、GBP単体の操作ではなく、Googleが照合できる店舗・サービス・所在地・診療時間・評判情報の整合性を高めることにあります。
具体的に押さえておきたいポイントは、次の4つです。
1. ローカル実体データを「Googleが照合しやすい状態」に整える。GBPを起点に、正式カテゴリ・営業時間・属性・サービス・写真の正確さを整え、公式サイト・Maps・第三者ポータル上の表記(NAP・診療時間・対応サービス)と矛盾なく一致させます。情報の誤りや欠落は、AIの答えの誤り・欠落として増幅され得ます。
2. クチコミを「AIが選ぶ根拠」として運用に組み込む。Query fan-outの挙動を踏まえると、ユーザーが指定する「子連れ」「予算」「利用シーン」等の制約条件に対し、クチコミ本文にこれらの文脈が自然に含まれている状態が、AIが自店を選ぶ裏付けとして機能しやすくなると考えられます。クチコミや返信は検索語を詰め込む場所ではなく、実体験に基づく自然な記述が集まる体験設計が前提です。
3. 効果は複数指標で定点観測する。「地域+業種+おすすめ」等をudm=50で月次実行し自店カードの出現有無を記録するほか、GA4のLP別CVR・予約完了率、指名検索の推移、GBPインサイト、第三者ポータル経由のCV変化など、単一指標に依存せず定点観測することが重要です。Search Consoleではオーガニック検索とAIモード経由の流入を厳密に分離できない点にも留意が必要です。
4. 業種とクエリの意図で分けて考える。医療・ヘルスケア系では「店舗探索型(近くの・おすすめ・予約)」と「相談・情報探索型(症状・受診目安)」を分けて分析することが有効です。
まとめ:良いMEOの土台は、ローカルAI検索の土台になる
本記事では、ローカル21業種・約11万件のAIモード回答分析からわかった、Google店舗カードの引用構造を解説しました。要点は次の3つです。
● ローカル21業種のAIモード回答は、平均69%が店舗カード(Googleのナレッジグラフ実体)を根拠として引用しており、その引用密度は2か月で38.0%→48.8%へ上昇している
● 店舗カードURLの正体は、事業者が編集するGBPページそのものではなく、Google側が管理する店舗・場所エンティティへの参照であり、実店舗と一致することを確認済み
● 実務上求められるのは、GBP単体のハックではなく、公式サイト・GBP・Maps・第三者サイト・口コミ上の店舗情報を矛盾なく整え、Googleが照合しやすいローカル実体データを作る「モダンMEO」への概念アップデート
AIモードのローカル回答における可視性は、地図順位という従来の指標とは別の評価軸を持ち始めています。自社の店舗情報がどれだけ「Googleが照合しやすい状態」にあるかを点検することが、これからのMEO実務の第一歩になります。
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