カスタマージャーニーマップとは?作成手順7ステップや作成ツールを紹介
今回は、カスタマージャーニーマップの基本情報と作り方を具体例もまじえて詳しく解説します。
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カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーとは、見込み顧客から顧客になるまでのプロセスを行動だけでなく、思考や感情も合わせて考えることで、最適なアプローチを出すための概念ことです。
また、プロセスごとにユーザーが扱う媒体や感情、行動を図式したフレームワークをカスタマージャーニーマップと呼びます。ユーザーは、商品やサービスを認知してから購入するまでのなかで、行動や思考、感情が変化します。そのため、各プロセスでのユーザーの動向の全体像を俯瞰して見ることで、それぞれのプロセスでの課題と対策を考えることが重要なのです。
カスタマージャーニーマップは、ユーザーの行動や思考を俯瞰して把握する目的で作成されます。
ユーザーシナリオとの違い
ユーザーシナリオとは、企業側が想定するサービスと顧客の関係を築くための理想的なプロセスを洗い出した設計書のようなものです。ユーザーが商品やサービスを利用する際の状況を説明するという点では、カスタマージャーニーマップとは変わりません。
ただし、カスタマージャーニーのように、実際に顧客の行動する思考や感情までを想定するものではないため、ユーザーシナリオどおりに進むとは限らないのです。
ユーザーシナリオとカスタマージャーニーとを併用して、理想的な顧客へのアプローチをするために必要な改善策の策定や、目標設定の明確化に役立てましょう。
カスタマージャーニーマップを作成するメリット
カスタマージャーニーマップを作成するメリットは、以下の4つです。
- 顧客体験を向上できる
- 顧客との接点を強化できる
- 社内で認識を共有できる
- 課題の優先順位を明確にできる
カスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客行動の全体像を把握できます。顧客の思考や感情まで深掘りして顧客情報を洗い出すことで、より最適なアプローチ方法も見つかるでしょう。
以下では、それぞれどのようなメリットなのかを解説します。
顧客体験を向上できる
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客目線を第一に考えた施策を打てるようになります。
顧客体験とは、顧客が商品やサービスの購入に至るまでの行動や思考、感情のことです。顧客体験を時系列で可視化すれば、顧客の行動や感情の変化に合わせて最適な施策をより具体的に考えることができるでしょう。
カスタマージャーニーマップを活用すれば、顧客の心理に深く寄り添うことで顧客体験を向上させ、商品やサービスの購入までのプロセスを最適化できます。
顧客との接点を強化できる
カスタマージャーニーマップでは顧客との接点がどこにあるのかも洗い出します。顧客との接点がどこにあるのかを把握できれば、接点が生まれる媒体へのアプローチも強化可能です。
たとえば、Instagramをよく利用するユーザーであれば、Instagram広告や興味関心を引く投稿を継続するなどの施策を打てば顧客との接点を強化できます。
顧客がどこにいて、どのような施策をすれば認知してもらえるかなども、カスタマージャーニーマップを作成することで把握できるようになるのです。
社内で認識を共有できる
カスタマージャーニーマップを作成しておけば、マップを見ただけで顧客の行動や思考を共有しやすくなります。顧客情報が共有しやすくなれば、部署ごとでの認識が統一され、施策のぶれがない一貫性のあるアプローチが可能です。
顧客へのアプローチに対して関係者全員が顧客視点で取り組めるようになるため、カスタマージャーニーマップの作成は重要といえるでしょう。
課題の優先順位を明確にできる
カスタマージャーニーマップは各プロセスで考えられる課題の優先順位を明確にできるメリットがあります。ユーザーが商品やサービスを購入するまでに、課題の重要度を比較して改善に取り組むことで、早い段階で効果が見込めるのです。また、改善を迅速に行えば顧客からの信頼度も向上し、購入体験の向上にもつなげられます。カスタマージャーニーマップを作成して、課題に対して継続した改善を行えば、購入後のリピート率も高められるでしょう。
カスタマージャーニーマップの作り方
カスタマージャーニーマップを作成する手順は、以下の7つです。
- ペルソナを設定する
- 縦軸を設定する
- 横軸を設定する
- 顧客の行動を整理する
- 顧客の感情を整理する
- タッチポイントを設定する
- マッピングする
それぞれどのように設定すればよいかを具体例を用いて解説します。
①ペルソナを設定する
ペルソナとは、見込み顧客や顧客の特徴を表した仮想人物のことです。年齢・性別だけでなく、趣味趣向やどのような日常生活を送っているのか細かく想定します。
ペルソナは実際に商品を購入してほしい顧客イメージになるため、カスタマージャーニーマップ作成だけでなく、マーケティングや事業開発をする際には重要な取り組みです。ペルソナの設定には、社内の顧客をリサーチしたり、Webサイトへの閲覧履歴を収集したりして分析します。また、新規商品であれば競合商品の顧客をリサーチするなどして、より具体的なペルソナ像を設定できるでしょう。
たとえば、環境に配慮して制作されたサステナブルファッションのブランドサイトでリメイクバッグを販売するブランド企業の場合を例に出してみます。
ペルソナを設定する場合は、以下の画像の内容まで落とし込むことが望ましいです。
人物像が明確になると、ユーザーがどのような考えで購入までに至るのかを想定しやすくなります。ただし、あまりに細かく設定しすぎると実際の顧客と乖離してしまう可能性もあるため、カスタマージャーニーマップ作成中に変更できるように余剰を残しておきましょう。
②縦軸を設定する
カスタマージャーニーマップの縦軸は、主に以下の5つの項目を設定します。
- 行動:実際にユーザーがとる行動
- タッチポイント:ユーザーと接触する場所やツール
- 思考:行動をする際にユーザーが考えること
- 感情:行動をしたユーザーが感じたこと
- 課題:行動した結果ユーザーが抱いた不満や不足していた点
どのような行動を起こし、何を考え、どのような感情を抱くのかを設定したペルソナから想定して、それに対する課題を洗い出していきます。
必ずしも5つの項目を入れなければいけないということではなく、自社の環境や状況に応じて目的や最終目標も変わるため、臨機応変に対応しましょう。
③横軸を設定する
カスタマージャーニーマップの横軸は、主に以下の4つの項目を設定します。
- 認知:ユーザーがサービスを認知した状態
- 情報収集・比較検討:サービスについて情報収集した・他サービスと比較検討した状態
- 体験・購入:実際にサービスを体験・購入した状態
- 購入後:サービス購入後の状態
ユーザーが購入までのプロセスでどのような状態なのかを把握します。横軸も商品や目的などで変わるため、自社の状況に応じて項目を変更してもかまいません。
④顧客の行動を整理する
カスタマージャーニーマップの縦軸と横軸を設定したあとは、想定しているペルソナが各プロセスでどのような行動をするのかを整理していきます。
以下では、サステナブルファッションのブランド企業を例に出して、実際に想定してペルソナの行動を設定してみました。
- 認知:ユーザーがサービスを認知した状態
例:Instagramのタイムラインでおしゃれなバッグを発見。環境に配慮されたサステナブルファッションであること、数量限定のリメイクバッグであることに興味が湧いた。 - 情報収集・比較検討:サービスについて情報収集した・他サービスと比較検討した状態
例:ブランドサイトで商品の素材やこだわりは何か、本当に1点ものなのか、ほかのブランドでも似たような商品がないか、口コミはあるかなどの情報収集をして検討した。 - 体験・購入:実際にサービスを体験・購入した状態
例:実際に店舗に行って購入した。 - 購入後:サービス購入後の状態
例:同じブランドのほかの商品も検討してみた。友人に話す・Instagramに投稿
顧客行動の洗い出しは、考えられるものを全て挙げていくのがおすすめです。洗い出したいくつかの顧客行動から、実際に起こしそうな行動パターンを整理していくと分かりやすいでしょう。
⑤顧客の感情を整理する
次に顧客の感情を整理していきます。
- 認知:顧客がサービスを認知した状態
例: おしゃれでかわいいバッグ!数量限定だし欲しいなー。サステナブルファッションって最近流行ってるよね。 - 情報収集・比較検討:サービスについて情報収集した・他サービスと比較検討した状態
例:ほかの商品もおしゃれでかわいい!全部リメイク商品なんだ。ほかに似たブランドとかないのかな。少し高い感じもするなー。口コミとかないかな。 - 体験・購入:実際にサービスを体験・購入した状態
例: 自分の服に合わせてみるとやっぱりかわいい!ほかの商品と組み合わせるのも良さそう! - 購入後:サービス購入後の状態
例: 周りの人にも評判良くて気に入っているから満足!ほかの商品も見てみよう!
感情を整理する際は、あえて抽象的な指標も入れるのもおすすめです。たとえば、ポジティブとネガティブで分けるなども加えると、課題と改善方法がより提案しやすくなります。
⑥タッチポイントを設定する
タッチポイントとは、顧客が行動する際に使用する媒体のことです。WebサイトやSNSなどがタッチポイントにあたります。
以下のようにタッチポイントを設定していくとよいでしょう。
- 認知:顧客がサービスを認知した状態
例: Instagramのタイムライン(広告の可能性もある) - 情報収集・比較検討:サービスについて情報収集した・他サービスと比較検討した状態
例:商品のブランドサイト・ほかブランドのサイト・口コミサイト・Google検索・SNS - 体験・購入:実際にサービスを体験・購入した状態
例: 取扱店 - 購入後:サービス購入後の状態
例:Instagramへの投稿・ブランドサイトのレビュー
重要なのはペルソナを想定して、より具体的なタッチポイントを想定することです。SNSと単にいっても、ペルソナによって利用するサービスは異なります。さらに、Instagramがタッチポイントの場合、タイムラインを重点的に見る顧客とストーリーズを重点的に見る顧客とでも分類できます。
このように、設定したペルソナが実際に利用するタッチポイントを具体的に考えることが大切です。
⑦マッピングする
縦軸と横軸の内容が固まったら、実際にカスタマージャーニーマップにマッピングしていきましょう。マッピングする際は、課題に対してのアプローチを考えるためにKPIを設定しておくとよいでしょう。
KPIとは最終目的までのプロセス内で設定する中間目標のことです、KPIを設定することで、各プロセスの課題で用意すべきものや優先順位が明確になり、プロセス通過後の振り返りにも活用できます。
1つのプロセスに課題が1つとは限りません。考えられる課題全てを洗い出して、その改善策とKPIを設定しておけば実際のマーケティング活動でも的確に行動できるようになるでしょう。
カスタマージャーニーマップの作成ツール3選
カスタマージャーニーマップを作成する際に活用するツールを、3つご紹介します。
- KARTE
- Lucidchat
- Marketing Cloud
ユーザーデータを抽出できるツールやマッピングに特化したツールなど機能が異なるため、自社に適したツール選びの参考にしてください。
KARTE
画像出典:KARTE
KARTEとは、ユーザーの行動履歴から一人ひとりに合わせた最適なアプローチを提供できるツールです。
従来のツールでは、サイトへの訪問回数やセッション数、離脱率などの指標からユーザーの行動や思考を予想して施策を考える必要がありました。また、ユーザー一人ひとりにフォーカスしたものではなかったため、最適なアプローチ方法かどうかも分かりませんでした。
しかし、KARTEはリアルタイムでユーザー行動を分析して可視化されるため、ユーザーの考えや感情の変化に対応したアクションを起こせるのです。KARTEで収集した詳細な顧客情報からペルソナ設定に活かすのも効果的で、詳細なデータにより実際の顧客行動に沿ったカスタマージャーニーマップの作成が可能になります。
リアルタイム解析と解析されたデータをもとに瞬時にアクションを起こすことでユーザー一人ひとりに合わせたアプローチができるのがKARTEの強みです。
Lucidchat
画像出典:Lucidchart
Lucidchartはクラウドタイプのフローチャート作成ツールです。
無料版から始められるため、カスタマージャーニーマップを試しに作成したい方にもおすすめできます。Lucidchartでは、カスタマージャーニーマップのテンプレートが複数用意されており、自社に合わせたカスタマイズも可能です。
カスタマージャーニーマップを作成する際に必要なパーツも揃っており、直感的な操作でカスタマイズできるので初心者でも簡単に操作できます。
作成後はGoogleドライブやOffice 365などの外部ツールとも連携でき、PDF・JPEG・PNGなどのファイルで出力可能です。ユーザーデータを抽出することはできないですが、マッピングする際に有効なツールといえます。
Marketing Cloud
画像出典:Marketing Cloud
Marketing Cloudは、セールスフォースが提供しているマーケティングオートメーションツールです。マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動や営業活動を自動化して効率化するためのツールのことです。
Marketing Cloud内のサービスに「Journey Builder」というサービスがあり、詳細なカスタマージャーニーマップを作成できます。収集したユーザー行動の履歴から、分岐したユーザーの行動パターンに応じて、アプローチ方法を分けて設定可能です。
また、行動したユーザーに実際にプッシュ通知を送ることもでき、メッセージの確認と変更も可能です。
カスタマージャーニーマップのマッピングだけでなく、マッピング後の細かな施策まで自動的にアプリーチしてくれるのがMarketing Cloudの強みでしょう。
カスタマージャーニーマップの活用事例
カスタマージャーニーマップの活用事例として、株式会社パソナキャリアカンパニーを例に挙げます。
パソナキャリアでは、新規事業を創出できる人材の獲得をWebサイトで達成したい目的としていました。そこで、カスタマージャーニーマップを作成したことで、就活が始まってから入社までの間で、就活生がどのような行動をしているのか、何を考えているのかの洗い出しを効率的に行えたのです。
分析の結果、就活生は、企業選考の準備段階から実際に企業を選ぶまでの間で入社したい企業について十分な情報を得られていないという課題を感じていることが明確になりました。
洗い出した課題を解決するための施策として、パソナキャリアでは採用チームが自分でイベント情報や、学生が企業を深く知るための情報を気軽に発信できるサイトをWebサイトリニューアルの要件に入れ込むことにしたのです。
カスタマージャーニーマップを作成したことで、顧客体験の収集と分析を最小限の時間で行うことができた事例です。
まとめ
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を認知して購入するまでの行動プロセスを、行動パターンや思考、感情などの項目で分析するためのフレームワークです。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の詳細な行動を俯瞰的に把握できるようになり、最適なアプローチを提案できます。
各部署との認識の統一にも効果的なため、新規事業だけでなく既存プロジェクトでも活用することをおすすめします。ぜひカスタマージャーニーマップを活用してみてください。
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