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Google独占禁止法裁判で判明!検索ランキングの真実とSEO戦略への影響

Google独占禁止法裁判で判明!検索ランキングの真実とSEO戦略への影響

Googleの検索アルゴリズムは、どのような要素で順位が決まっているのか。SEO担当者であれば誰もが気になるテーマですが詳細は長らくベールに包まれてきました。

今回取り上げるのは、米国コロンビア特別区連邦地方裁判所におけるGoogleに対する独占禁止法訴訟の判決文(2025年9月2日付) に記録された内容です。
判決資料には、GlueデータやNavboost、RankEmbedBERTといったランキングシグナルの仕組みや役割について、これまで公にされていなかった情報が含まれています。

判決文の全文はCourtListenerの公開資料 から確認できます。

本記事では、この判決文の抜粋をもとに、Google検索の主要なランキング要素を整理し、SEO担当者が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

裁判で明らかになったGoogle検索アルゴリズムの全体像

判決文から明らかになったのは、Googleの検索順位は単一の要素ではなく、数多くのシグナルの組み合わせによって決定されているという点です。

It’s not one signal; it’s not two signals. I’m not even sure how many signals it is, but it is many of the signals that are used for ranking.
(和訳:1つや2つのシグナルではなく、ランキングに使われるシグナルは非常に多い)

Googleの検索順位決定は「PageRankのような古典的指標」や「RankEmbedBERTのような最新AIモデル」のいずれか一つに依存するのではなく、多層的に複数のアルゴリズムやシグナルを組み合わせているという点が示されました。

Quality Signals(品質アルゴリズムの仕組み)

Quality Signals は、かつては被リンクの数の質と量を基準とするPageRankが主軸でした。
しかし判決文では、現在の品質シグナルの大部分は「ウェブページそのもの」から導かれるとされており、リンク依存の時代から大きく移行していることが分かります。

つまりGoogleは今、リンクの数よりもコンテンツ自体の質や信頼性を重視する方向へシフトしていると考えられます。

PageRank

PageRankはGoogleの初期から使われているリンク解析アルゴリズムで、ページの信頼性を「他のページからのリンク構造」に基づいて数値化する仕組みです。

PageRank … is a single signal relating to distance from a known good source, and it is used as an input to the Quality score.
(和訳:PageRankは「既知の良質なソースからの距離」に関する単一のシグナルであり、品質スコアの入力として使用される)

PageRank は長らく「SEO=被リンク対策」と言われるほど重要なシグナルでしたが判決資料やGoogle公式の説明からも分かる通り、今では「品質シグナルの一部」にすぎません。

つまり被リンクは依然として評価対象だが、リンクの数だけで上位化する時代は終わった と理解するべきです。

検討すべき施策
Google 公式が公開している リンクのベストプラクティス にもある通り、SEO施策では次の点が推奨されます。

  • リンクは正しい HTML の anchor タグで設置し、クロール可能にする
  • アンカーテキストはリンク先の内容を正しく表すものにする
  • サイト内で関連ページ同士を内部リンクで整理し、文脈を伝わりやすくする

コンテンツ品質とE-E-A-T

判決文では「Googleの品質シグナルの大部分はウェブページそのものから導かれる」と述べられており、コンテンツそのものの評価が中心になっています。

Most of Google’s quality signal is derived from the webpage itself.
(和訳:Googleの品質シグナルの大部分はウェブページそのものから導かれる)

リンク構造だけでなく、ページそのものの内容や専門性(E-E-A-T)が評価されます。

判決文自体に「E-E-A-T」という言葉は出てきませんが、Googleが公開している検索品質評価ガイドラインと照らすと、この「ページ自体の品質を重視する」という方向性は、まさにE-E-A-Tの考え方に通じています。

Popularity Signals(人気度を評価するアルゴリズム)

Popularity Signalsは、ユーザーにどれだけ利用され、どれだけ参照されているかを測る仕組みです。判決資料では「Chrome訪問データ」と「アンカー数」が根拠として示されました。ただしアンカー数が外部リンクのみを指すのか、内部リンクも含むのかは明確ではありません。

つまり、Popularity Signalsは「ページやサイトが実際に使われ、リンクされている度合い」をランキングの一部に反映していると考えられますが、その具体的な計算方法は依然ブラックボックスのままです。

検討すべき施策
Popularity Signals に関連する施策は、Google公式のページ エクスペリエンスと Google 検索結果への影響や、How Does Google Determine Ranking Resultsの考え方と一致します。

  • モバイル対応やページ速度改善など、快適にアクセスできるサイト設計
  • ユーザーが再訪したくなる有益なコンテンツを提供し、Chrome利用データ上の利用頻度を高める
  • 自然な被リンク・内部リンクを増やし、よくリンクされる文書として評価される

Chrome訪問データ

Chromeから得られるユーザー行動データは、Googleが人気度を評価する材料として活用している可能性があります。

Two exhibits suggest that popularity is based on ‘Chrome visit data’ …
(和訳:人気度シグナルは「Chrome訪問データ」に基づくことを示唆する証拠がある)

この記述は、ユーザーがどのページを訪問し、どの程度利用しているかがランキング要因に組み込まれている可能性を示しています。

ただし、どの指標(PV、滞在時間、直帰率など)がどのように使われているかまでは明らかではありません。

検討すべき施策
実務上の施策としては、Chrome利用データを意識するよりも、ページエクスペリエンスの最適化に力を入れるのが有効です。

  • ページ速度を改善し、モバイルでも快適に閲覧できるようにする
  • ユーザーが最後まで読めるように、分かりやすい構成やナビゲーションを整える
  • リピーターを増やすために、実用性のあるコンテンツを継続的に発信する

アンカー数(リンク構造)

ページがどれだけリンクされているかを定量化する「アンカー数」は、よく参照されるページを上位に押し上げるシグナルとされています。

… ‘the number of anchors,’ which is a measure that quantifies the number of links between pages and is used to promote well-linked documents.
(和訳:「アンカー数」はページ間リンクの量を定量化する指標であり、よくリンクされている文書を上位に反映するために使われる)

この表現からは被リンクの重要性が示唆されますが、内部リンクも含まれるかは明確ではありません。
いずれにせよ、自然で関連性の高いリンク構造を整えることが、Googleに評価される要素になると考えられます。

検討すべき施策
Google 公式の Google のリンクに関するベスト プラクティスに基づいた推奨施策は以下です。

  • 内部リンクを整理し、関連ページ同士を適切につなげる
  • 外部リンクを得る際は、不自然なリンクビルディングではなく自然な形で獲得する
  • アンカーテキストは意味のある文言にして、リンク先の内容を正しく表現する

Glueによるユーザーインタラクションデータの活用

Glueは、Googleがユーザーの検索結果ページ(SERP)上での行動データを収集・整理するためのシステムです。

The data underlying Glue consists of information relating to … SERP interaction information, such as clicks, hovers, and duration on the SERP.
(和訳:Glueの基盤データには、クリック、ホバー、SERP上での滞在時間といったユーザーのインタラクション情報が含まれる)

Glueはユーザーが検索結果をどう扱ったかを記録します。クリック数だけでなく、マウスオーバーやSERP上での滞在時間など多様な行動ログが含まれます。

ただし判決資料では、Glue内での処理方法や各行動指標の重み付けは明かされていません。

検討すべき施策
GoogleのHow Does Google Determine Ranking Resultsでは、クリックやユーザー行動がランキング判断の一部に用いられると説明されています。これに基づく施策は以下です。

  • 検索結果ページでクリックされやすいタイトルタグとメタディスクリプションを設計する
  • サイト訪問後にすぐ離脱されないよう、検索意図に合った情報を冒頭で提示する
  • 見出し・デザインを最適化し、ホバーや滞在時間が増えるようにする

RankEmbedBERTによるAIランキングモデル

RankEmbedBERTは、Googleが検索ランキングに導入したAIモデルで、検索ログと人間評価者のデータをもとに学習されています。
特にロングテールクエリにおいて検索品質を改善したと証言されています。

RankEmbedBERT was again one of those very strong impact things, and it particularly helped with long-tail queries where language understanding is that much more important.
(和訳:RankEmbedBERTは非常に強い影響を与えた要素の一つであり、特に言語理解が重要となるロングテールクエリにおいて大きく役立った)

RankEmbedBERTは複雑な検索意図を含むクエリに対応する力を持ち、自然言語処理によって検索結果の精度を向上させました。
ただし具体的な学習データの比率や他シグナルとの重みづけは公開されていません。

検討すべき施策
GoogleのHow Does Google Determine Ranking Resultsが示す「意味理解」や「関連性」の考え方に沿って、以下の施策が有効です。

  • 検索意図を踏まえた文脈のある記事を作成する
  • ロングテールクエリに対応するため、FAQ形式や多様な質問に答えるページを用意する
  • 類義語や関連語を自然に含め、曖昧な検索にも対応する
  • 構造化データやエンティティを活用し、文脈理解を補強する

ランキングシグナルの相対的重要度と不明点

Googleの検索アルゴリズムは多数のシグナルの組み合わせで決定されますが、それぞれの比重までは判決資料では明かされていません。

It’s not one signal; it’s not two signals. I’m not even sure how many signals it is, but it is many of the signals that are used for ranking.
(和訳:1つや2つのシグナルではなく、ランキングに使われるシグナルは非常に多い)

<確実な内容>

  • PageRankは依然として使われているが、中心的な役割を果たしているわけではない
  • RankEmbedBERTはロングテールクエリに強く影響している
  • Glue/Navboostは大規模な行動ログを集約する基盤として機能している

<断定できない内容>

  • 各シグナルの正確な比重
  • PopularitySignalsが外部リンク限定か内部リンクも含むか
  • モデルの内部的な計算方法や重み付け

まとめ

判決資料から得られた事実は限定的ですが、確実に言えるのは「単一のシグナルに依存するSEOは通用しない」という点です。

SEO担当者にとって実務に直結する示唆は次の3つです。

  • 被リンク偏重ではなく、E-E-A-Tを意識したコンテンツ設計
  • クリック率や滞在時間を高めるユーザー体験の改善
  • 検索意図に応える幅広いコンテンツ(特にロングテール対応)

最終的に重要なのは、検索アルゴリズムの細部を推測することではなく、ユーザーに価値ある体験を提供する施策を積み重ねることです。

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プロフィール
中原 卓馬(なかはら たくま)
GMO TECH株式会社 執行役員/マーケティング統括 中原 卓馬(なかはら たくま) 中原 卓馬(なかはら たくま)のウェブサイト 中原 卓馬(なかはら たくま)のFacebook
15年の業界経験を持つSEO・グロースマーケティングの専門家。これまでに医療・金融・SaaSなど200以上のサイトでSEO支援を行い、平均オーガニック流入+87%、売上4倍の成果を創出。 現在はGMO TECH株式会社にてアルゴリズム研究室の室長を務め、マーケティング戦略を指揮する。
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